雨の朝である。
これで旅情は細やかなものになった。
6時に起きて露天風呂を使う。
8時半朝食。
8時ころエルさんに携帯でメールを入れたら、エルさんはもう起きていた。
朝食は非常に吟味された、リッチなもの。十分に食べた。
一夜を過ごした宿ともお別れである。もう一度、複雑な構造の、宿の中を見ておく。
宿に荷を預けて北向き観音と、安楽寺、常楽寺に向かう。出しなに、傘を貸してくれる気持ちのいい宿であった。
別所の温泉街を抜け、北向き観音を見る。
エルさんには慈覚大師と別所温泉の由来などの蘊蓄を垂れる。
安楽寺の山門までは長い石段を上る。
安楽寺では国宝八角三重塔を見た。
雨のせいか、長居する気にもなれず、周囲を眺めただけだった。
塔は墓域の中にあった。
塚を見るほうが相応しいような天気だった。
常楽寺に向かう。
重文の多宝塔は厳重な囲いがしてあった。
なにか不自然だ。興が薄い。
常楽寺の美術館は閉まっていた。
庫裏に声をかけると、親切な梵妻さんが出てきて、年末年始は休みなのだが、特別に開けてくれるという。
紅葉狩りの絵巻が見たかったのだ。近代の作だが何故か惹かれる。
エルさんに平維茂と紅葉狩りの解説をしてやる。
しかし、この子は知識はないのだが、好奇心はすごい。一言話すと、なぜ?それはなに?その関係は?と質問攻めに遭う。
宿から荷物を回収して、上田に戻る。
小諸に出て、懐古園を見ようというプランだ。
しなの鉄道で30分弱で小諸に着く。
懐古園は閑散としていた。
島崎藤村記念館など、博物館、美術館が園内にあって、それを見て回れる、共通券500円也を買った。
しかし、博物館を見るよりも、閑散とした城跡の中を散策したほうが情が深い。
まさに、「小諸なる古城の畔遊子悲しむ」の世界である。
懐古園娘と二人冬の雨 素閑
懐古園で3時間ほど過ごした。
佐久平に出て、15時46分の新幹線で帰京した。
帰りの新幹線の中のエルさんとの話題は日本国憲法談義であった。
楽しい二日の旅はあっという間に過ぎた。
エルさんと、下北沢の『すし好』でビールを飲み食事をして、旅を締めくくった。
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