かーたんの入院2日目。
今日、内視鏡検査があり、結果が出た。それをかーたんが、晩になって携帯メールで知らせてくれた。
病名は、やはり虚血性大腸炎であり、腸内に潰瘍と腫瘍があるという。潰瘍は栄養を補給していれば、自然治癒するというが、腫瘍のほうは良性か悪性か、組織検査に回して判断するとのことで、良性・悪性の可能性は五分五分という。
メールを見た時、なんとも不安で気の重い一瞬を過ごした。
夜になっても食欲がない。料理を作る気も起きない。
一人、買い置きしていた大量のベーコンと卵を炙って、ベーコン・エッグズとエールで済ませた。
ところで、ベーコン・エッグは大藪春彦の小説の独り身の主人公達には(大藪の作の主人公は大抵独り身だが・・・)定番の朝食メニューである。
彼らは、必ず、アジトでベーコン・エッグズを作りトマトジュースで流し込み朝食とする。
オカブは大藪春彦のファンだ。
その作品に出てくる、美食を貪り食い、危険な仕事の後、三日三晩程も眠り続け、美女を犯し、残酷な方法で敵をぶっ殺すといった場面には、人間の野獣としての本能的欲求が投影されていると思う。人間が猿の頃の状態からあまり発達していないオカブにとっては大いに共鳴するところだ。荒っぽく粗野な料理のベーコン・エッグもそうした作品には欠かせない点景だ。食欲がストレートにこのシンプルな食い物に襲い掛かるような、そんな作者の描写だ。
しかし、今晩の飯はそんな気分にはなれない、なんとも砂を噛むような味わいだった。
食器を片付け、かーたんの無事を祈りつつ、寝床に入った。
命あれ春の息吹のときなれば 素閑
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