いよいよ、ウィーンへ出発である。4年ぶりの海外でちょっと昨晩は気持ちが昂ぶってよく眠れなかった。成田U-Cityホテルでバイキングの朝食を摂って、無料のシャトルバス8:45発。成田空港には9時半前に到着。さすがに3.11の影響か、空港内はがらんとしていた。アメックスのサービスでスーツケースを空港に宅配していたので、それをピックアップしに、JALエービーシーカウンターへ。荷物はすぐ出てきた。こいつを、オーストリア航空のカウンターでチェックインして、あとは雲上人となるばかりである。WEBチェックインしていたので、荷物を預けるだけ。 ボーディング・パスを受け取ってあとは飛行機に乗るばかりだ。
ボーディングは11:10分のフライトに対して、10:30から始まると言う。それにしてもまだ時間がある。そこで、いつものIASSラウンジへ。ビールで一息ついたのは言うまでもない。おつまみのおかきをばりばり齧りながら、これで日本の味もしばらくお預けだな、としばらくしんみり。昨日、かーたんと天下寿司で、日本食の食い収めをしてきたので、ウィーンでは高くて不味い『ヤパニッヒ』には行かないことと決めている。10日間のウィーン料理責めで耐えられるかちょっと不安にもなるが、まあこれまでもなんとかやってきたのでなんとかなるだろうと楽観。
ボディ・チェックとパスポート・コントロールを受け、搭乗口へと向かう。それほど待つこともなく予告通り、10:30に搭乗が始まる。思えば、成田-ウィーン便が、3.11でキャンセルとなり、それ以降も、北京、ソウル経由便となっていたので、もう、このウィーン行きは半分諦めていた。それが4月になって、オーストリア航空が直行便の運行を再開したので、なんとか今回の旅行に漕ぎ着けた次第。なんとも難産な旅だったが、とにもかくにもここまで来たことにほっとするやら、なんとも感動するやら。
搭乗してみて気づいたのだが、このフライトはビジネスは満席だがエコノミーはがらがら
ほとんどのエコノミー乗客は3席を独占してエコノミー・ファーストクラス状態。横に長々と寝て、長い飛行時間を過ごすことが出来る。こんな感じだと、当分の間ヨーロッパ便はビジネスを取らなくてもエコノミーに乗ったほうが楽だなあ、と乗れもしないビジネス客のことを案ずる。ところでオカブはこんなにエコノミーが空いているとは思わなかったので、エコノミー席の最前列をブッキングしてあった。これだとご覧の通り、ビジネス側に楽々と、伸び伸びと足を伸ばせてラクチンに座っていられる。まあこんなにエコノミー が空いているのを知っていれば、この席をあえてとる必要もなかったのだが、座っていても楽だからいいとしよう。しかし、オーストリア航空は通常時のエコノミーの特等席、非常口後ろの座席を、70?プラスのプレミアム料金をとって売り出すような真似を始めた。こりゃ、オカブが予言したとおりのことが、航空業界でも起こっているのかなと実感。パリ旅行記2008を参照。しかし航空会社もせこくなったもんだな、こりゃ!?まあ、食前酒のセクトはしっかりとせしめたけどね。
せこいと言えば、機内食も、前菜が日本蕎麦、デザートは袋入りのウェハースと言うせこさだった。まあ、5月のハイ・シーズンに特別料金といっていい低価格で乗せてもらってるんだから文句は言えないが。それにこのエコノミーのがらがらの快適さ。運がよかったと言わねばならないだろう。それにオーストリアのヴァイス・ヴァインは美味かった。
さて、予定の20分前にテイク・オフしたOS52便は一路、ウィーンへ。飯を食ってしまえば、後は、寝ているか、酒を飲んでいるかしている以外に手はない。オカブは 後者を選んだ。『オッタックリンガー』、『ゲッサー』とオーストリアのビールをがぶ飲みした上、ワインを十分に堪能した。
それにしても、オーストリア航空は飲み物を頻繁にサービスで持ってきてくれると言う点で、なかなか結構な扱いである。酔い覚ましにアップフェルト・サフトを頂いて、存分に空の旅を楽しむ。
オーストリア航空名物の間食のチキンラーメンを食べて、やっとこさウラル山脈を越えようという所。ようやくヨーロッパに入るんだなあ、と感慨もひとしお。
また、ビールとワインを飲んで、うとうと眠った。しかし、12時間でこれくらいしか食わなくても飛行機の中では腹は空かないものですね~。
そうこうしていると、はや到着1:30前になって、2回目の機内食。スモーク・サーモンとサラダ。まあ、前よりもまともだからいいか?
到着直前。窓の外にヨーロッパの上空の景色が見えてくる。はや、ウィーンに近づき、シェーンブルン宮殿などが上空から観覧できる。ああ、ついに、またウィーンに来たんだなあ、とまた感傷に浸る。
ベルト着用のサインがつき、飛行機は着陸態勢に。
そして予定よりも15分早い、15:35にウィーンシュべヒャート空港にランドオン。12時間のフライトを終えて、ヨーロッパの到着のこの15分差は大きい。
ヨーロッパの入国審査は非常に簡単、バゲージもプライオリティ並みに早く出てきて、カスタムも、NO Declearであれば、なんのチェックもなく、空港外へ。
CATへ乗ろうと地下へ降りるエレベーターに乗ると後から日本人の一人旅のオバハンが乗ってきた。地下でCATの切符を買おうとしていると
「あの、日本からの方ですか?」
「あの、この券売機、カードでなければ変えないんでしょうか?」
「いや、ユーロの現金でも買えますよ。片道10ユーロ。往復で買うと割引で18ユーロ」
「いえ、帰りはこれに乗るつもりはないんで・・・」
そんなことから、このオバハンとは、ウィーン・ミッテまで付き合うことになってしまいましたが、なんでもご主人がブダ・ペストで国際会議に出席のためのご一家でのウィーンご来訪。ただし、全員バラバラでのウィーン入りと言う。
まあ、このオバハンにはなんやかんやで頼られそうになったが、別に初海外でもなさそうなので、オバハン、日本人だと思って頼ろうとせず、自分で考えて行動せえや。中には怖い日本人だっているとも限らないし。
そんなこんなで、オバハンの世話を焼いたり焼かなかったりしているうちに、自分がウィーン・ミッテで迷子になってしまった。
ウィーン・ミッテの駅ビルはいま改築工事中で、CATの出入り口が今までの反対側になっていた。だから出口を出て右に曲がってまっすぐ行けば黙っていても、リンクにでると思っていたが、どうも様子がおかしい。うろうろしていると、サングラスにホット・パンツの姉ちゃんが「道分かんないの?」と助け舟を出してくれる。
「ああ、リンクに出るにはどう行けばいいんだい?」
「あっ!そうすか?ダンケ・シェーン」
なんのことはない。駅ビルの反対に出たから、出口を出て左に曲がればよかった。
なんのかんので、リンクからシンガー・シュトラッセに入り、シュテファンス・プラッツへ出て、グラーベンに抜け、ドロテア・ガッセの入り口のお目当てのホテル・グラーベンに到着した。
ホテルのフロントで、
「予約していたオカブだが」
と申し出ると、パスポートとクレジットカードのコピーをとられ、宿帳に記入させられて、
「朝食は7時から10時まで。あそこのレストランでどうぞ」
てな、具合で解放されて、部屋の鍵を渡され、晴れて自由の身となった・・・と思ったらベル・ボーイが荷物を持ってついてきた。
日本の地震は?津波は?と聞くから、まあなんとかなってるけど原発の被害が大変だね、と答えておいた。
ウィーンで地震のことが話題になったのは、これとあと一回きりだった。
なにか、ひどく骨董品的なのを、モダンに改造したようなリフトで5階に上がり、部屋に入ると、狭いながらも、まあまあの部屋。バス・タブもついておる。
まあ、これはこれで良しじゃて。
ただ、前回のウィーン旅行記でも書いたが、このグラーベン・ホテルと、ホテル・ロイヤルとレジーナを擁する、このクレムスラーナー・ホテル・チェーンのオーバー・ブッキングの悪癖は直っておらず、オカブの滞在中、二組もオーバー・ブッキングでバンプトゥ・アウトされた予約客を見かけた。ホテル・スタッフはシステムのトラブルのせいだと事も無げに応対しており、客もそんなに怒った素振りは見せていなかったので、欧米ではそんなに珍しいことではないのかもしれないのかもしれない。
しかし、一組の客は、代わりのホテルも探してもらえずに、大層困ったことであろう。オカブもそのことには用心して、リコンファームの電話を入れたが、今回も運には見放されず、ちゃんと泊まれた。このホテル、オーバーブッキングさえなければ、従業員はフレンドリーだし、価格はリーズナブルだし、立地は最高だし、申し分のないホテルだ。
スーツ・ケースの中身を整理してシャワーを浴びて・・・さて、今日の夕食は・・・・?いや、飛行機で軽食を食べたから、晩飯抜きでもいいのだが、やっぱり、限られた時間 の中で、ウィーンの味覚を満喫したいので、アム・ホーフのあたりをうろうろしていると旧市庁舎の裏の広場に面した、『ツム・シェーラー』というバイスルが目に付いた。
ZUM SCHERER=>
夕暮れ迫る広場に面した、佇まいがなんともロマンティックなので、思わず吸い寄せられて、シャニガルテン(テラス席)へ。ずいぶん馴れ馴れしいウェイターがやってきて、注文を聞く。まずはビール。海外に行くと、外人は馴れ馴れしいか、つっけんどんか、どちらかなので気にしない。
おお、今日の特別メニューにシュパーゲル(白アスパラガス)があるではないか!?オーストリアでは5月の旬の食べ物と言えばこのシュパーゲルに決まっている。迷うことなく、シュパーゲルをとる。
ビールは美味いし、テラス席から見る広場の眺めは幻想的で、ロマンティックだし、で・
肝心のシュパーゲルのお味はと言うと、名物に美味いものなしの諺通り、そんなに美味いものとは感じられなかった。
しかし、この時はまだ、高脂質、高塩分、高カロリーのウィーン料理に毒されていなかったから、こんな感じになったのであって、以降、シュパーゲルには2度ほどお世話になった。
このバイスル、シュパーゲルとビール大ジョッキ2杯、シュナップスで22.3ユーロ。1ユーロチップに置き、馴れ馴れしいウェイター氏とますます馴れ馴れしくなって店を出る。
さて、お腹も一杯になり、ホテルに帰り、バタンキューである。今は午後10時。日本では早朝5時の計算。寝たくなるのも当然である。
風すがし暮れ行く日惜しむ五月かな 素閑
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