仕事の時間待ちでキャロットタワーに来た。
26階のラウンジで時間を潰そうとしていると、窓から素晴らしい景色が飛び込んできた。
昨日は54年振りの東京の11月の降雪だったが、当然、富士の高嶺にも雪は降ったであろう。
その翌日、新雪をまとった富士山が、晴れ渡った青々とした空を背景に堂々と聳えているのだ。
思わず手にしていたカメラで撮影した。
オカブが学生時代、登山のサークルに入っていたころは、冬山登山を前にしてだいたい11月下旬に雪上訓練というものを富士山で行うのが習わしだった。
しかし、当時は現在と比べても非常に雪不足の時代で、その時節は富士山にほとんど雪がなく、12月にずらして雪上訓練をやったり、場所を富士山から北アルプスに移して行ったりしたものだ。
この雪上訓練のプログラムの中に富士山の頂上でのビバーク訓練というのがあるのだが、これは厳寒の頂上でツェルトというテントというには名ばかりの薄いナイロン布の中で、シャツの上にはセーターとヤッケだけという出で立ちにて一夜を明かすという過酷なものだ。オカブはこれで一睡もできないのだが、中にはぐ~すか眠ってしまう豪傑もいて驚いたものだ。
この雪上訓練は、吉田口でやるのだが、訓練終了後、富士吉田の浅間神社に下山して、地獄の「打ち上げ」が行われる。
これは、一同の前に日本酒の一升瓶が数十本と並べられ、新人は洗面器ほどもあろうかという登山用の食器になみなみと注がれた酒を何倍も飲み干すことを強いられる頂上ビバークにも増して過酷なものだ。
ビバークで寝ていない身体に大量のアルコールはきつく、オカブは急性アルコール中毒にかかり動けなくなり、浅間神社の境内で一夜を明かし翌日帰京したことがある。境内には大量の吐瀉物を残したまま・・・さぞや木花咲耶姫がお怒りのことだったろうと思う。
そんな、懐かしい思い出を胸に抱きながら、キャロットのラウンジから富士山を眺めた。
雪富士やわれにも若き日がありし 素閑
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