ウィーン3.5日目。少々だらけてきた。暑さに参ったということもあるのだが。
そうした想いとは裏腹に、だらだらとした街歩きを中心とするウィーン見物は続く。
足はドナウ川運河のほうへ向かう。日差しは相変わらず強く暑い。愛用のレイバンのサングラスをつける。ところで今、ウィーンではレイバンの旧式モデルのサングラスが流行のようで、多くの人がオカブと似たようなサングラスをしていた。
イエズス会教会の前の広場に出た。教会に参詣する。
イエズス会教会の前の広場は、ちょっとした市民の憩いの場で、2軒のカフェ・レストランが店を広げ、広場にシャニガルテンのテラス席を出している。
さて、イズス会教会の内部は絵に描いたようなバロック様式。見事な装飾だ。この装飾の煩わしさや、バロックのモチーフの裏側に潜む、デモーニッシュ、グロテスクな要素を嗅ぎ取って毛嫌いする人もあるようだが、オカブはこのバロックの放つ天国と地獄が並存する二元論的な美的迫力が好きだ。またバロック芸術・建築のないウィーンは本質を剥ぎ取られたようなものだ。
右は、たぶんシュヴァーデン・プラッツの建物。なんせ、ウィーンの旧市街は狭い。外周約4キロのリンクに囲まれた一画が旧市街、ウィーン一区、インネレシュタットだ。すっと見て歩くだけなら、一日で廻ることができる。それを何日も掛けて、なにか新しい小さな発見がないかと、胸をわくわくさせながら、同じところをぐるぐると何回も通り過ぎ、巡り歩くと言うのも、ウィーンの楽しみ方の一つだろう。
ウィーンの街並み。何の変哲もない、建物の一画だが、なんとも歴史の重みと趣を感じさせるのがウィーンの魅力である。そして、ウィーンに身を置いていれば当たり前になってしまうこうした風景を、こよなく愛おしくなるようになれば、ウィーンの魅力に取り憑かれたたことになるであろう。わが夢の町ウィーンである。
ドミニコ会教会。バシリカ風のファサードで他のウィーンの教会と少し趣を異にする。特にパリにいくつかあるルネサンス様式の教会とあい通じるものがあると感じられる。ウィーンはロマネスクからゴシック、ルネサンス、バロック、ロココ、そしてユーゲントシュティール、モダンと様々な様式が混在する街である。しかし厳然として中核をなすのはバロックである。世界の中でも最も純粋なバロック都市と言えるだろう。
ドミニカ教会の内部。ルネサンスの影響を残しながらも、バロックの様式となっている。
グリーヒェン・ガッセ。レストラン『グリーヒェン・バイスル』の脇の小さな通りである。映画『第三の男』にも登場した。
ウィーンを代表する風景の一つと言っても過言ではない。
ウィーンの街をうろうろしているとこんな小さな通りにも必ず出てしまうから不思議である。
ルプレヒト教会。ウィーンで最古の教会である。塩商人の守護神である、聖ルプレヒトに捧げられた。
ロマネスク様式の建物は、その歴史の長さを物語っている。
そして、毎週ミサがもたれている現役の教会である。
珍しくルプレヒト教会の内部が公開されていた。
その装飾の簡素さを見れば、バロックの教会との違いは歴然であろう。
最近改修されたように見受けられ、壁面なども塗り替えられたようである。
いよいよ、バーミューダー・トライアングルに突入である。
知らぬ人が聞けば、「バミューダ・トライアングル」とは何か?と首を傾げるだろうが、このルプレヒト教会の周辺の三角形の一角は若者向けの酒場が集中しており、深夜、ウィーンの若者が酔いつぶれて「沈没」し、行方不明になってしまうことから、バミューダ・トライアングルと名づけられた。
しかし、飲み屋街とはいえ、ご覧の通り、東京は新宿・歌舞伎町などと比べればいたって健全である。
老舗の酒場の一つである、『マ・ピトム』がなくなっていた。
老舗の酒場である『カクトゥス』。この飲み屋街発祥の一軒である。
このバミューダ・トライアングルにはユダヤ教のシナゴーグがあるため、いつも軽機関銃を持った警官が警戒に当たっている。
お目当てのビール酒場『クラー・クラー』。やはり、バミューダ・トライアングルの老舗中の老舗で、飲み屋街発祥の一軒である。
三羽のカラスのマークが目印。
世界のビールの豊富な種類が置いてあるので名高い酒場である。
酒場と言っても午前11時から開いていて昼食も取れる。
写真は小麦団子のチーズ・グラタン。
ビールのつまみにちょうど良かった。
なにやら分からんが、メニューで目のついたビールを片端から注文していった。これは黒ビール。
真昼間からビールをがんがんいく。
これはヴァイツェン・ビール。
何か、分からんが、とにかくビール。
『クラー・クラー』はビールも良し、つまみも良し、値段も良し、で良い店であることを再確認した。
夏はシャニガルテン、テラス席が快適である。
飲み屋だから本来は夜に来るものだろうが、やはり夜の一人歩きは怖いので、あえて昼間来た。
しかし、昼間の飲み屋も開放的で良いものだ。
グラーベンに戻り、ペータース教会に行くと、結婚式のミサをやっていた。
ミサに与ってもよいかと、教会の係員に聞くと「いい」というから一番後ろの席に座って、結婚式を「見物」していた。
すると、観光客があとからあとからやってきて、結婚式はさながら観光イベント状態。
新婦の入場。
この時シューベルトの『ウェディング・マーチ』がオルガンで演奏されたほかは、結婚ミサの礼拝音楽はすべて、ギターの弾き語りの歌手が歌うフォーク・ミュージック。
もっと厳粛な式を期待していた向きとしてはいささか拍子抜け。
夕食は、クレント小路の老舗レストラン『オーフェンロッホ』で。
昼飯時、前を通りかかったとき予約しておいた。
ガイドブックには予約が必要とは書いていなかったが、結果的に観光シーズンの土曜のディナーのこの予約は正解だったようで、後から来た予約無の客は満席だからと断られていた。
アミューズ。
前菜。スモーク・サーモン。
ヴィーナー・シュニッツェル。ここの店のは、塩味がついていた。少々、塩辛い。
ウィーンでシュニッツェルを食って学んだことは、日本のトンカツのように下味をつけないものもあれば、塩・胡椒で下味をつけるものもあるということ。
オカブは下味をつけない素の肉の味で、レモンだけを絞って食べるほうが美味いと感じた。
デザート。アップフェル・シュトゥルーデル。
結局、今夜の結論としては、ガイド・ブックに載っているような有名レストランでなくても、ウィーンの味は堪能できると言うこと。
逆に、地元民しか行かないような(とはいえウィーンは街ごと観光対称なので、どんな店であれ観光客を排除するということは不可能なのだが・・・)大衆食堂のほうが値段も安いし、味も変わらないのでお得です。
中途半端な店だと、雰囲気だけで高い料金を取られる。
食事も終わり、勘定を済ませ、もう、一度、バミューダ・トライアングルに行きたかったが、もう9時を回っていることもあり、ホテルに帰ってバスに入りお休みなさい。
夏日落ちて独りになりし旅の果て 素閑
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