わが娘、エルさんが成人式を迎えた。感無量である。20年前、この子は東邦大学大橋病院で産声を上げた。生まれる前の晩、かーたんと普通に就寝したが、夜半過ぎ、かーたんににわかに陣痛が起きた。その後のかーたんの立ち回り振りは見事であった。自分で病院に電話を入れ入院の手配をし、荷物をまとめて、近くに住む義兄に連絡して車で搬送してもらうように準備した。亭主としては手を出すすべもない。夜から降り出した雨が、そぼ降り、実に心もとない雰囲気であった。病院に着き分娩室にはいっても、なかなか産まれるものではない。どうやら難産らしい。親父としてはなんら手を出す余地もなく、ただおろおろしているばかりである。未明になっても産まれない。この日、朝一で顧客先にミーティングのアポイントが入っていたので、7時には病院から出なければならない。後ろ髪を引かれる思いで客先に向かう。10時半、顧客との面談が終わり、駅の公衆電話に飛びつくようにして病院に電話を入れた。「2810gの女の赤ちゃんです。母子ともに健康です」という看護婦さんの応対を聞いて、へなへなとその場に崩れ落ちそうになった。ただ、「ありがとうございます」としか返答できなかった。この時のありがとうは、いったい誰に向けてのものだったかはいまだに自分のこととはいえはっきりしない。雨は上がり、蒼天に輝く朝日がまぶしかった。会社に帰り、上司に報告して病院に向かった。乳児室に入れられているわが子と初めて対面した。吸引分娩だったと言うことで、頭にガーゼを載せている。後でかーたんに聞くと、産声も実に頼りないものだったということだ。しかし、それから食欲旺盛な乳児時代。ひょうきんで楽しく明るく、怖いもの知らずだった幼児時代。次第に自我に目覚めた小学校時代。周りとの葛藤に悩んだ中学時代。ソフトボールに青春を燃焼した高校時代。たくましく育った。そして大学に入学して、いま勉学に、バイトに非常に密度の濃い毎日を送っている。ここでこの子の二十歳という年輪が刻まれた。親としてはここまで育ってくれて、なにも言うことはない、満足の限りである。後は、今後、悔いのない人生の歩みを踏みしめていって欲しいと願うばかりである。今日は朝の7時から着付け。11時から世田谷区民会館で区の成人式。そして午後から母校の高校で催される成人式。そして夜は中学の同窓会。今日一日、エルさんは目の廻るような忙しさである。思い出の成人式となってもらいたい。エルさんの今後の人生に乾杯!下の写真は1月5日に撮った前撮りの写真。
いくとせの想いを込めたり成人式 素閑
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます