「キュレーターの殺人」 M・W・クレイヴン ハヤカワ・ミステリ文庫
THE CURATOR 東野さやか・訳
3か所で切断された指が見つかる事件が発生する。
被害者は女性2人に男性1人。
状況から被害者は死亡していると思われるが、女性の遺体は発見されていなかった。
国家犯罪対策庁(SCA)の重大犯罪分析官(SCAS)ワシントン・ポー部長刑事は、分析官のティリー・ブラッドショーと、臨月を迎えているステファニー・フリン警部が捜査に当たる。
3人の身元はやがて判明するが、3人に繋がりは全くないようだった。
やがて、1人の被害者から辿り着いた人物があるゲームをしていた事が分かる。
それは、ロシアで始まったとされる「ブルー・ウェール・チャレンジ」の変化版だった。
「ブルー・ウェール・チャレンジ」はSNSで1日に付き課題が1つずつ、50日間にわたり出され、最終的には自殺に追い込むと言うものだった。
しかし、この後チャレンジの仕掛け人を追いつめても、まだ先があった。
彼らを操っているキュレーターの存在が浮かび上がる。
「刑事ワシントン・ポー」シリーズ第三弾。
始めの事件の真相がやっと分かったと思うと、そこから次の疑惑が生まれ、事件はどんどん進んで行く。
ポーが見つけた違和感を、ティリーが調べて解き明かし新たな謎も見つける。
ポーだけでは駄目だし、ティリーも分析や調べる元を与えられなければ動けない。
いや、少しずつ自分で考えて言われる前に調べたりもしているけど。
2人のコンビがバランス良く、やり取りも面白く読んでいて楽しい。
ティリーの社交性の成長も楽しい。
しかし、これだけ複雑な物語を中だるみもなく、読ませるのは凄い。
事件は楽しいだけでは済まない、悲惨な様相だけれど。
「ブルー・ウェール・チャレンジ」(青い鯨)と言うのは実際にあった事だそうだ。
言葉だけで人を操る犯罪は他のミステリ小説でも出て来るが、1番卑劣な犯罪者になっている。
それが今回は2重3重になっていた。
最後は思ってもみなかった人物で、驚愕とともに悲しかった。
もっと違う人が犯人でも良かった。
ここまで残酷な事をしなくてもと思ってしまった。
それならば、ポーの最後の行動も変わったのではないだろうか。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます