「ストーンサークルの殺人」 M・W・クレイヴン ハヤカワ・ミステリ文庫
THE PUPPET SHOW 東野さやか・訳
英国カンブリア州に点在するストーンサークルで次々と焼死体が発見された。
犯人は死体を損壊しており、三番目の被害者にはなぜか停職中の国家犯罪対策庁の警官ワシントン・ポーの名前と「5」と思しき字が刻み付けられていた。
身に覚えのないポーは処分を解かれ、捜査に加わることに。
しかし新たに発見された死体はさらなる謎を生み、事件は思いがけない展開へ……
<文庫裏カバーより>
「ワシントン・ポー」シリーズの第1作目から読んだつもりだったのに、読み始めてすぐに、登場人物の関係が分かっている感じで、間違えたかと思って確かめた。
間違いなかったが、その分遅れて参加した感じで物語に入り辛かった。
そして、色々組み合わさって、濃厚な物語という印象。
すんなりと頭に入らず、あれがこうなったから、こう考えたのかと確認しながら。
それでも、段々引き込まれて読むペースは速くなる。
一言でいうと復讐の物語だが、犯人が分かった後も人間心理に迫る部分もあり、やはり濃い。
考えてしまったのは、何十年も前の事の復讐を果たすためにはどれほどのパワーがいるのだろう。
人間は忘れる事が出来る生き物。
それが、幸せに、穏やかに生きていく上で大切な事でもある。
パワーを保つためには、“臥薪嘗胆”が必要と言う事か。
辛い悲しい物語。
そして、人間の中にある、暴力の種。先に読んだ『頬に哀しみを刻め』を思い出した。
誰にでもあるものではない、と思う。
そういう物を持って生まれる人がいると言う事だろうか。
ワシントン・ポーとティリー・ブラッドショーのやり取りを読んでいて、似たような刑事がいたと思ったのだが、誰だったろう。
思い出せないけれど、この感じが好きだ。
しかし、ティリー・ブラッドショーを見ていると、社会性も少しは必要だと思う。
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