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「フレドリック・ブラウン短編傑作集 死の10パーセント」 フレドリック・ブラウン

2024年10月21日 | 読書
「フレドリック・ブラウン短編傑作集 死の10パーセント」 フレドリック・ブラウン 創元推理文庫 
     
TEN PERCENTER AND OTHER STORIES
小森収・編  
越前敏弥、高山真由美、国広喜美代、武居ちひろ、廣瀬麻微(あさみ)、広瀬恭子・訳

13編からなる短編集

「5セントのお月さま」 The Moon for a Nickel    越前敏弥・訳
妻の治療費を稼ぐため、望遠鏡で月を5セントで見せていた男。
お客のいない暑い日の午前零時。
不審な男が1ドルで、望遠鏡をのぞくが、それは近くのビルの窓だった。
そこで、強盗事件が起こり、男は逃走する男たちを見ていたが、男たちは警官に捕まる。

「へま」 Boner  広瀬恭子・訳
ドイツのスパイシュミットが、アメリカ在住のドイツ人ヘフナーを脅す。言う事をきかないと、ドイツに居るいとこを殺すと。
男はシュミットをFBIに逮捕させる。その真意は?

「女が男を殺すとき」 Before She Kills  高山真由美・訳
〈(アンブローズ)ハンター&(エド)ハンター探偵事務所〉に、オーリー・ブックマンが、妻イヴが自分を殺そうとしているから、その証拠を掴んで欲しいと依頼が来る。
エドがオーリ―の疎遠の弟になって訪れ、滞在して捜査する事になる。
何日かして、オーリ―が倒れる。

「消えた役者」 The Missing Actor  高山真由美・訳
〈ハンター&ハンター探偵事務所〉に父親フロイド・ニールソンが行方知れずになった息子アルビーを探して欲しいと依頼して来る。
息子は借金から逃げているようだ。最後に父親がその借金を用立てたら、息子はその金を持って逃走したと。
父親は農場を売り、引っ越すので、その前に息子に会いたいと言う。

「どうしてなんだベニー、いったいどうして」 Why,Benny,Why   広瀬恭子・訳
19歳の娘が10月の夜、家路に急いでいた。
暗いけれど近道の階段を降り始めた時、下から登って来る男に気が付き、思わず逃げ出す。

「球形の食屍鬼(グール)」 The Spherical Ghoul  廣瀬麻微・訳
鍵の掛かった検視局の死体置き場で、自動車事故で死んだと思われる死体が喰われたような傷が出来る。
換気扇の穴しか外界との通路は無かった。
身元不明の遺体を確認に来る人がいるので、夜勤をしていた学生のジェリー・グラントは自分が疑われるのではと考える。それは書いている論文のテーマが『迷信の起源とその部分的正当性』で、幽霊、食屍鬼、吸血鬼、人狼などが出て来るからだ。

「フルートと短機関銃のための組曲」 Suite for Flute and Tommy Gun  越前敏弥・訳
絶対禁酒主義者のヘンリー・レメルが友人のデイヴ・ピーターズと、ピアノとフルートの二重奏中に、撃たれて死亡する。
フルートの高音の調べの中に、短機関銃のスタッカートが聞こえたのだ。
ヘンリーは脅迫状を貰っていて、その為に私立探偵のマグワイアが呼ばれたが遅かった。
しかし、マグワイアは直ぐに犯人を見つける。

「死の警告」 A Date to Die  越前敏弥・訳
警察署にペテン師バラーニャから、殺人予告の電話が入る。
同じアパートに住むランダルの部屋から掛けていて、今から始まると言い直後に銃声が聞こえ電話は切れる。
そこは署から3キロのアパートで、マリー部長刑事が現場に駆け付けようとして、警察署の待合室にバラーニャが座っているのを見つける。
アパートでは、ランダルが撃たれて死んでいた。

「愛しのラム」 The Little Lamb  武居ちひろ・訳
丘の上にあるアトリエで画家のウエインは恋人のラムがなかなか帰って来ないので、町の方へ探しに行く。
途中には売れている画家のハンスのアトリエがある。
まさか、ハンスの所には居ないだろうと思うが、気が気ではない。

「殺しのプレミアショー」 Premiere of Murder  国広喜美代・訳
劇場のショーで使う銃が、空包のはずが実包が入っていて役者が1人が死んでしまう。
いつ実弾にすり替えられたのか、空包はどこへ行ったのか。
その場に居合わせた警察署長のディレイニーが事件に臨む。

「殺意のジャズソング」 Murder Set to Music  越前敏弥・訳
自動車販売店を営んでいる、2人の元ジャズマン、ダニーとラルフ。
高校の頃からの知り合いで、ダニーがトランペットでラルフがサックス。
2人で同じ娘、ドリスに恋するが、ダニーと結婚。それでも3人の仲は続いた。
町にかつての仲間が1か月間の営業にやって来る。
そんな時、ダニーが家を訪ねて来た見知らぬ男に殴られて怪我をする。 
仲間にコンボを聴きに行くと、サックスが代役のミックで今一つだから、ラルフに出演要請をする。
ラルフは断るが、次の日ミックが殺される。
どうやら、ダニーを襲ったのと同じ男の様だった。
そして、ラルフは自分の販売所に自分の知らない車が置かれているのに気が付く。

「死の10パーセント」 Ten Percenter  越前敏弥・訳
俳優を目指していたビルは、バーで知り合ったロスコーと意気投合。
ロスコーは自分にマネージメントを任せれば2年以内にスターにしてやると言う。
正式なエージェントは別に雇い、稼ぎの10パーセントを払う。
それとは別にロスコーにも10パーセント、それは記録に残らないものであると。
今まで上手く行った事のなかったビルはその条件を受け入れる。
ロスコーは直ぐに正式なエージェントを見つけ、ビルは仕事で成功して行く。
しかし、ロスコーとの契約は“悪魔の契約”だった。

「最終列車」 The Last Train  越前敏弥・訳
いつか、何処へ行くのか分からない列車に乗って遠くへ行きたいと思っているエリオット・ヘイグ。
バーでその話して、今日乗って行くと列車の時間を聞く。
バーテンダーの反応から、その話をするのが初めてではない事に気が付く。
今日こそはと駅に向かう。
その時、夜の空は赤く色付いていた。
火事なのか、オーロラなのか。





推理ものや幻想的なものもがあるが、味わい深い短編が多い。
フレドリック・ブラウンは昔、文庫本で出ているのはほとんど読んでいるので、きっと読んだ短編もあると思うのだが、ほとんど覚えていない。
ただ、面白かったと言う事と、この雰囲気は覚えている。
心がざわつく感じ。
久し振りに読んで、はやり面白かった。 
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