「ティンカー・ベル殺し」 小林泰三

「ティンカー・ベル殺し」　小林泰三　東京創元社　　

ネヴァーランドへ向かうピーター・パンとウェンディと子どもたちの旅に蜥蜴のビルが出会う。
お腹が空いたと言う子どもたちの為に、ピーター・パンが取ってきた食べ物がビルだったのだ。
ビルが話す事に驚くが、仲間に加わりネヴァーランドへ向かう。
ウェンディは、ネヴァーランドは楽しい所ではないと言う。
ピーター・パンは考えたり覚えたりする事が苦手で、戦闘的で簡単に殺しを実行する人物だった。
その時、井森建は小学校時代の同窓会に出席する為に、故郷から数時間離れた温泉町に来ていた。
その宴会の最中、１人の男、八木橋が倒れる。救急車で運ばれるがすでにこと切れている事を井森は知っていた。
ネヴァーランドで、八番と呼ばれていたピーター・パンの迷子が海賊に撃たれ死んでいた。
その同窓会にはネヴァーランドの住人にアーヴァタールがたくさんいた。
そして、ネヴァーランドではティンカー・ベルが殺され、同窓会では鋳掛聖が死ぬ。
ネヴァーランドではウェンディの指導でピーター・パンを探偵に、ビルをワトソン役として、ティンカー・ベル殺しの犯人を見つける事になる。







蜥蜴のビルと井森建の物語、第４弾はピーター・パンのいるネヴァーランドの世界へ。
ビルは不思議の国に帰りたいのだが。
ここではビルが話すことに驚かれる。しかし、第三者としてわりと自由に行動出来るのがビルの強み。
井森の世界でも人は死ぬが、それはネヴァーランドが影響しているから、大事なのはこちらの世界。
しかし、ティンカー・ベル殺しのシーンは鮮明に書かれていて、犯人はピーター。
それが分かっているのに、その後でピーターにアリバイが出て来る。
何故だろうと不思議に思うが、そこにからくりがあった。
今回は、今までより単純な事件だったが、それを捜査する人物に問題があるから分かり辛くなっていた。
そして、アーヴァタールは似ている人もいれば、全く似ていない人のいると言うのが、大事。
しかし、残酷描写もいつになく、えげつなくなっているのがちょっと嫌だ。

『ピーター・パン』の物語は、子どもの頃、子ども用の本で読んだのと、ディズニーの映画で知っている。
最後の解説を読んで、ジェームズ・マシュー・バリーが書いたのとは多少違うのだろう。
物語の背景にあるものとか、結構深い。
そんなことを詳しく知っていればもっと楽しめるのかも知れない。
いつもそう思うのだが。