しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「MAZE メイズ」 恩田陸

2007年10月16日 | 読書
深い谷を越えると現れる乾燥した白い荒野。
その真ん中にぽつんと小高い丘があり、その丘の上に白い箱が載っているような立方体の建造物がある。
入口はひとつ、建物の周りには棘が生えたサボテンのような植物が密生していた。
そして、そこは「存在しない場所」「有り得ぬ場所」と呼ばれ、中に入った人が消えるという話が伝わっていた。
時枝満は神原恵弥に誘われ、「有り得ぬ場所」の調査に加わる。
それは、白い建造物、通称「豆腐」で何故人が消えるのかを推理することだった。
その調査は、神原が勤めるアメリカの製薬会社が費用を出資し、バックアップの人数は大勢いたが、その地に留まるのは軍人のスコット、この国の御曹司セリム、神原、時枝の4人だった。
神原恵弥は男だが、女言葉を使う。
それは女性家族の中で生まれ育ったこともあり、自分自身バイセクシャルを認識し、女言葉の方がしっくり来るからだった。



閉じられた空間、迷路のような建物の中で消失する人間の理由を推理する。
それだけの為に呼ばれた満の存在は、始めから何かのカモフラージュではないのかと思わせた。
資料を読んで推理するなら、現地に連れて行かなくても事は足りる気がするし。
安楽椅子探偵って、そういうことだから。
なので、胡散臭い感じがする神原恵弥という人物に注目してしまうが。
でも、推理した説はなかなか不気味で面白かった。
物語の中に星新一さんの『おーい でてこーい』の話が紹介されるが、この推理説も星さんのショートショートにあったのに似ている。「牧場都市」だったかな。

読み終わって、そんな大掛かりなことしなくても、と思った。
謎を謎として残したいのなら、何もしない方がいいのではないか。
なんだか大掛かりな謎の割りに、あまり解決しても驚きもなく、現実離れした状態が現れても、とって付けたような感じがした。
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