「鵼の碑」 京極夏彦 講談社 2024年7月27日(土)
ホテルに滞在中の関口は散歩中に同じホテルに泊まる久住と出会う。
久住は担当のメイドから聞いた話に心を乱されていた。それは、自分は父親を殺したというものだった。
中禅寺秋彦は輪王寺に委託され文書の整理をしている。
一緒に仕事をしているのは僧籍の築山公宣と、史学で古文書に詳しい仁礼将雄。
その仁礼が宿屋の亭主から、昔光る猿が出たという話を聞いて来る。
薔薇十字探偵社には、勤め先の上司で婚約者の寒川秀巳を探して欲しいと、御厨冨美が訪ねて来て、益田が応じる。
寒川は20年前に日光で崖から落ちて死亡した父親の事を調べていた。
最近、仏師の笹村に出会って、新しい情報を得て旅に出たまま帰って来ていないと言う。
木場修太朗刑事は先輩刑事の慰労会で、20年前に芝公園であった、消えた三体の遺体の話を聞く。それには特高が絡んでいると言う。
それぞれが、日光で出会い、謎が解けていく。
久し振りの「百鬼夜行」シリーズ。17年ぶりだとか。
自分が読んだのは17年も前ではないが、それでも久し振り。
読んでいて登場人物に、「そうそうこんな感じだった」と懐かしく思った。
それぞれ別の事を追っていて日光に集結するのだが。
始めは幾つか同時進行に始まり、めぐって来るので、これは誰だっただろうと振り返って確認。
最近色々な事が覚えられなっているからか、場面変化が多いからなのか。
タイトルの鵺が全体に係るテーマ。
実際に無い物に、名前を付けるからそこに現れる。
そして、それに怯え惑わされてしまう。
戦争中の軍人が係わる秘密の計画。
それにまつわる殺人事件や死体が消える謎。
それは鵺と同じようなもの。
色々あるが、昔の事を探ることなので、全体的にはゆったりと進行して緊迫感はない。
もう少しテンポが良くてもとも思う。
しかし、最後はそれぞれの物語がきちんと落ち着く。
鵺の物語も聞いた事があるが、最後の母が息子の為にと言うのは知らなかった。
ああいう話もあるのか。
ストーリーの他に禅問答のような会話も沢山で、その時はああなるほどと思うが、あまり覚えていない。
1200頁あるが、会話が多いから進みは早い。
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