しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「DRACULA」 その2

2006年03月16日 | 観劇
『DRACULA』は何度か観て印象が変わった。
各チーム5回ずつの公演の中で、岩崎ドラキュラと姜ジョナサンは10回だから進化したのかも知れない。
2人の印象が薄いと始めは思ったが、そんな事はなくなり、しっかり真ん中に位置してくれた。だからか、Doomのお笑いとも馴染んで、より楽しい『DRACUAL』になった気がする。

個人の感想
ドラキュラ伯爵
岩崎大
  姿は目を剥いたり、首を変な風に傾げたりと、今までで一番異形だが、心は感情豊で、一番人間に近く、情熱的なドラキュラだった。感情が表に出て、始めに城でジョナサンに会った時は、すぐにでも血を吸いそうに接近していた。自制心が不足しているドラキュラかと思った。
しかし、ジョナサンへの思いも凄く感じた。
フライングは2階で見た時には、別に飛ばなくても…と思ったが、1階で見るとその効果を感じた。ふわっと舞い降りるドラキュラはなかなか格好良かった。
そう、顔は岩崎さんのドラキュラは一番ドラキュラらしかった気がする。凄味もあるし、たまに見せる笑顔も良かった。
マントを身体に巻き付ける様にして使っていたのも印象的。一度もマントを取らなかった。今回のマントは軽く広いのか、ふわっと翻して見せる事が多かった。
実は『ドリアングレイの肖像』のバジルが結構台詞が不安定だったので心配だった。モノローグの時に引っ掛かったら…って。そんな事もなく、しっかりとしたドラキュラで良かった。

ジョナサン・ハーカー
姜暢雄
  泣いたり、嘆いたりが多いジョナサン。ドラキュラが近付いて来ても気が付かないので、いつもびっくりしている(その演出も面白くて良かった)のが、弱々しさに拍車を掛けていた気がするが、さすがにアクションは綺麗。アーサーに、「君が一番戦闘力がある」と言われ、確かにと納得してしまう。(まあ、アーサーやキンシーがそれ以上に、頼り無いと言うのもあるかも知れないが)
ミナへの愛情も感じた。きっと浮気なんかしない一途なジョナサンなんだと思う。だって、ドラキュラの思いなんて全然感じていなかったもの。
姜ジョナサンも情熱的で感情が強く表にでる性格だった。

※それでなのか、ドラキュラとジョナサンの会話が、少し早口でぽんぽんと行く感じがした。それで、あまり余韻が感じられない気がして残念だった。

Wキャスト  ☆Depth(デブス) ♡Doom(ドゥーム)

ミナ・ハーカー
 ☆三上俊
  強いしっかりしたミナで、及川ミナと同じタイプ。あまり教師と言う感じがしなかった。顔は可愛いくて、女の人だった。三上さんは女役が続く様な気がする。
 ♡及川健
  今回衣装と髪形が変わる。教師というのがとてもしっくりした。アップの髪も似合っていて素敵だった。
前回より今回のミナの方が、弱さも持ったより女性らしい女性だった。丸みのある、落ち着いた女性。台詞のひとつひとつがしっかり感情を伝えている。
スカートには今回もやはり、ちょっと苦労していたかな。でも、前よりスカートを持つ事はなく、颯爽と歩く時もあった。

ルーシー・ウェッテラン
 ☆深山洋貴  
  髪形がすっきりして、綺麗になった。前回はぼさぼさした感じだったから、よかった。そして、やっぱり変化する所ははっきりしていて上手だと思う。棺に戻る所は何度見ても涙が出る。吸血鬼になってしまった悲しさがひしひしと伝わって来る。
 ♡吉田隆太
  前回とあまり変わらない感じのルーシーだったけれど、可愛くなったかも知れない。アーサーともあつあつ。あの軽い明るいアーサーに似合うルーシーだった。血を吸って戻って来た時、結っていた髪をほどいて、ばさばさになっていたのも、変化したと言う印象が強くなって、とても良かった。
  
※ミナとルーシー、Wキャストを比べるとやはり、ジュニ1と7の違いを大きく感じた。当たり前か。内から滲み出る情感なのだろうか。ジュニ7が下手な訳ではないと思うが、伝わってくるものに差がある。

アーサー・ホルムウッド(ゴダルミング卿)
 ☆舟見和利       
  舟見さんのきりっとした男役を期待していたのだが…、今回アーサーは弱いなよっとした人物を目指したのか、舟見さんもなよなよで残念だった。
笠原さんはなよっとしていいても、存在感があるけれど、舟見さんは細さも手伝ってか、優さ男で印象が薄かった。
でも、十字架にキスをしたのは、舟見アーサーだった。この時はキスするのが普通だと思うから、納得出来る。
そして、この棺の前のシーンの舟見さんがよかった。ぶるぶる震える手で杭とハンマーを持つ、気持ちの優しい弱いアーサーを「よく頑張ったね」と褒めて上げたくなる。最後に棺の前から去る時もとても情感があった。舟見さんは、ジョージとかも似合いそう。
魔女との対決で、十字架を落とした時には腕をクロスして、ウルトラマンスタイルだった。
 ♡笠原浩夫
  弱いし、軽いし、明るいし、恋愛してはしゃいでいる様な。とろける様な笑顔と甘い声、優しさ全開の笠原アーサー。しかし存在感はある、不思議なアーサー。ちょっと強い口調で話すとその通りに響いてくる。頼り無い様に見えて、頼り甲斐があるのか…。味のあるアーサーだった。
十字架を落とした時は、指で十字架を作り、セワードに“それじゃ駄目だから下がって”みたいに押しやられているのに、気付かず必死に向かって行くのが、一番好きなシーンだったりして。

キンシー・モリス
 ☆佐野孝治
  2度目のキンシーは、今回のメンバーの中でしっかりとした頼れる、ただ一人の人。佐野さんのキンシーまで変にならなくてよかったと思った(笑)。
 ♡山本芳樹
  この役作りは何かを参考にしたの?予想外の人物登場。
プロポーズする時に歌うのは…ギターも持っていると良かったのに。カーボーイはギターを持って歌を歌う。と言うイメージ。
芳樹さんは歌もうまかった。CDデビューして欲しい。
でも、山本キンシーも強くはなく、なんかへっぴり腰の時もあった。

セワード
 ☆牧島進一
  曽世セワードと同じ様に、弱々しく面白いイメージが少し出ていたが、牧島さんには、きちんとしっかりしたハワードでいて欲しかった。その方が素敵なんだもの。それに、可笑しさでは曽世さんにかなわない。
 ♡曽世海児
  コメディ役者にもなれる動きで3枚目のセワード。このキャラクターのお医者さんは頼りになるのだろうか…。凄く可笑しくて、楽しませてもらった。
台詞に対して、ひとつひとつちゃんと動作が付いているのもさすが。演技が細かい。

※今回このイートン校の3人はどちらのチームも仲が良くて、寄り添ったり助けあったりしていた。笠原さんは「三馬鹿トリオ」と言っていたけれど。

ヘルシング
 ☆船戸慎士 
  船戸さんは頼り甲斐があると思う。似合う役。花占いをしている松本テレサに「何やっているんだ?」と言うのは船戸さんの方が優しかった。「つべこべ言わずに運ぶ」と言うのも。言い方に説得力がある。  
 ♡河内喜一朗
  今回の方が厳しさもあるお医者さんだった気がする。松本テレサにもちょっと厳しい?

*魔女
 ♧石飛幸治、林勇輔、青木隆敏         
  メイクも凄いが、青木魔女はホラー小説の表紙になれそうな綺麗さも感じた。
高笑いが印象的だった前回だが、今回は存在感がまずどん!とある。永く生きて来た存在感。
「さみしいんだからさー」と言う、本当に深い寂しさも伝わって来た。
3人の魔女が醸し出す雰囲気が重くて濃厚だった。高笑いは勿論あるが、それより台詞の方が印象に残る魔女のシーンだった。

 松本慎也*子どものキンシー・メイドのテレサ
  前回と同じ役だけど、花占いをしたり、セワードにハートの視線を送ったり、演技が増えて、そんな所でももうフレッシュじゃない所を感じさせてくれる。
松本さんは男女、どっちも可愛い。
アーサーに呼ばれて「はい」と大きな返事をして「しー」と言われるのは、演出なのかな…思わず大きな声が出てしまったのか。

*ツガニー人
 ♧奥田努、寺岡哲、大沼亮良、関戸博一、松本慎也   
  ドラキュラ城の中での楽しみの一つ、ツガニー人。今回は寺岡さんが加わり、「ぱっ」の場面が。「切手買って貼って出す」のシーンは健在で楽しかった。お金を半分渡したら、そっちもくれと要求するシーンが増えた。一度は、手紙を破るぞ、と脅迫めいた仕草もした奥田さんだった。
毎回叩かれる関戸さん。なだめる松本さん。奥田さんが一番ツガニー人に見えるって本当のツガニー人は知らないけれど。
佐野さんがツガニー人になれなくてさみしがっていた。
始めの時、ドラキュラの入った棺を運ぶ時に奥田さんが歌う様にしていたのに、最後に見た時はなかった。あれ、良かったのに。

*Wの出演者が今回はジョナサンとミナの駅での別れのシーンで登場する。それが豪華で、メインを見ずにそれらに目が行く。

*カーテンコールの時に黒子で登場するのはWでメインの4人。アーサー、セワード、キンシー、そしてルーシーの深山さんと、ミナの及川さん。
黒子として動いている時、及川さんは身長で、なんとなく分かる気がする。
そして、始めの方で、ドラキュラの持って来たワゴンとワインを片付けるのは芳樹さん。フードを被り忘れて登場したので分かった。そして、もう一度見た時は、ワインだけ持ってワゴンを忘れそうになっていた。芳樹さんらしい・・かな。
長椅子を片付ける時など、マントをふわっとさせるのが綺麗だった。

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