しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「鬼火」 マイクル・コナリー

2023年02月01日 | 読書
「鬼火」 マイクル・コナリー  講談社文庫  上・下巻
 THE NIGHT FIRE   古沢嘉道・訳

ハリー・ボッシュの新人刑事時代、パートナーを組んだ恩師にあたる元刑事が亡くなった。
葬儀に参列したボッシュは未亡人から夫が自宅に残していた一冊の殺人事件調書を託される。二十年前にロス市警を引退したト恩師の執着していた未解決事件を解決すべく、凄腕女性刑事バラードに協力を求め、捜査を進めていく。
    <文庫本上巻裏カバーより>

ボッシュはまた弁護士で異母弟のハラーが担当している判事暗殺事件裁判に被告側調査員として協力もしていた。
一方、バラードはホームレス男性の焼死事件の現場を処理するが、単純な失火とみられていた見立てに不審を抱く。
過去の未解決事件を含め、三つの異なる事件が複雑に重なり合い怒涛の展開から終盤へ。
    <文庫本下巻裏カバーより>







今回は過去と現在と裁判絡みの3つの事件の捜査が同時進行して行く。
裁判絡みはミッキー・ハラーが、無罪にした殺人事件の被疑者だった。
その調査にボッシュも協力する。
刑事たちは弁護士に協力するボッシュを裏切者と決めつけ、新たな犯人を捜そうとはしない。
犯人は野放しにされた、と。
ハラーは無罪を勝ち取ったから、この事件はもう終わり。
しかし、ボッシュだけは犯人は他に居る事を確信して調査を始める。
その心意気がボッシュらして良いし、こう言う柔らかい気持ちを持って欲しいものだと思う。
3つの事件の調査が進み、共通点が見つかり、事件は解決に向かう。
そんな単純には行かないが、それぞれに真剣に取り組んで少しづつ明らかになっていく過程も面白い。
“主人公は死なない”の法則で命が助かっているだけのような。
何も毎回、こんなに危ない目に合わせなくても、と思ってしまう。
ボッシュとバラードの関係もとてもしっくりして来た。
ボッシュは後何年活躍出来るのだろう、作者はどんな終わりを考えているのだろうか。
自身は気力もあり元気だが、黄昏が近くなって来た感じが強くなって、不安になる。
ポアロやクルト・ヴァランダーのラストは寂しかったから。
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