しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「素敵な日本人」 東野圭吾 

2021年10月28日 | 読書
「素敵な日本人」 東野圭吾  光文社文庫 

9編からなる短編集。
「正月の決意」
地元の神社に、早朝の初詣に出掛けた夫婦は、賽銭箱の前に倒れている下着姿の男を発見する。
それはこの町の町長だった。
頭を鈍器で殴られた痕があり、刑事がやって来る。
ことの顛末を見ていた夫婦は、ある決意をする。

「十年目のバレンタインデー」
理由も分からず、別れを告げられて振られた作家の峰岸。
その相手、津田知理子から10年振りに連絡が来て、2人は会う事になる。
知理子は峰岸の作品は全部読んでいたと言う。
そして、話題は連載途中で休止している小説の話題へと。

「今夜は一人で雛祭り」
名家に嫁ぐ娘を心配する父親。
しかし、娘は、亡き母親の子だから大丈夫だと笑う。
父親は、妻は姑で苦労して我慢してばかりいたと思っていた。
そうではなかった事が、ひな飾りで分かる。

「君の瞳に乾杯」
合コンで知り合った内村とモモカ。
2人アニメで意気投合して付き合い始める。
しかしやがて、モモカは、内村は自分とアニメヒロインを重ね合わせているだけだと言う。
しかし、諦めさせようとモモカの取った行動が、内村に衝撃を与える。

「レンタルベビー」
子育てを疑似体験する為の、ヒューマノイド・ベビー。
エリーは世話に手間取るが、段々可愛くなって来る。
しかし、問題は別にあった。

「壊れた時計」
俺は金の為に、言われた仕事を引き受ける。
依頼してくるのは、A。詳細は知らないが、危ない仕事だという事は察している。
ある時、留守宅に入り、指定された品物を持って来る仕事で、その家の住人が早く帰ってきてしまう。
思わぬ事になるが、報告するとAは大丈夫だと言う。
しかし俺は、相手がしていた腕時計が壊れて止まった事が気になって仕方なかった。

「サファイアの奇跡」
小学5年生の未玖は神社で1匹ののら猫と親しくなり、イナリと言う名前を付ける。
しかし、そのイナリは突然いなくなり、交通事故に遭って死んだ事を知る。
イナリが行った動物病院で、未玖は他の1匹の猫と出会う。
それは一瞬だったが、未玖が18歳になった時、再びその出会いは起こる。

「クリスマスミステリ」
年上の脚本家樅木弥生の恋人になる事で、有名になった俳優の黒須。
しかし黒須は黙って別れるくらいなら破滅させると言う弥生を、クリスマスの日に殺す計画を立てる。
それは毒殺。
しかし、殺しは失敗し、弥生は自ら黒須に別れを切り出す。
有頂天になった黒須に、弥生が死んだら知らせが入る。そして殺人容疑は黒須に。

「水晶の数珠」
代々地元の政財界を支えて来た渡会家。
しかし、息子の直樹は役者になるとアメリカにいた。
勘当された身だったが、父の真一郎が癌で余命がないと姉に知らされて真一郎の誕生に帰国を決意する。しかし、その後、大事なオーディションがあるのでトンボ帰りの予定だった。
しかし、成田空港から電車に乗っている時に父親から電話があり、喧嘩となり直樹はアメリカへと引き返す。
まもなく真一郎は亡くなるが、不思議な事が分かる。
真一郎には直樹の帰国の事を知れせていなかったと言う事だ。電話番号を知っていたのも謎だった。







バラエティに富んだ短編集。
日常にある優しい謎や、ファンタジー、SF、犯罪推理物。
どれもすっきりまとまっていて面白かった。
登場人物の性格も伝わり、物語を楽しめる。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「チェス盤の少女」  サム... | トップ | 「レパード 闇にひそむ獣」... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事