「悪童たち」 紫金陳（ズージンチェン）

「悪童たち」　紫金陳（ズージンチェン）　ハヤワカ・ミステリ文庫　上・下巻　

　　　　　　坏小孩　　　　　　　　　　　　　稲村文吾・訳

優等生の中学二年生、朱朝陽(ジュー・チャオヤン)のもとに、孤児院から脱走してきた昔馴染みの少年丁浩(ディン・ハオ)とその〝妹分″の普普(プープー)が訪ねてくる。

行く当てのない二人をかくまうことになり、当初は怯えていた朝陽だったが、しだいに心を開いていく。

山に遊びに行ったあと、カメラで撮影した動画を見返していたとき、彼らはそこに信じがたい光景が映り込んでいたことに気づく。

人が崖から突き落とされる場面が……衝撃の展開に息をのむ華文サスペンス

＜文庫本上巻裏カバーより＞

それは完全犯罪のはずだった――

妻の実家の財産を狙う張東昇(ジャン・ドンション)は、登山に連れ出した義父母を事故に見せかけて殺すことに成功する。

だがその光景を偶然、朱朝陽(ジュー・チャオヤン)たちのカメラがとらえていた。

彼らはある事情から、自分たちの将来のために張東昇を脅迫して大金を得ようと画策するが……。

殺人犯と子供たちの虚々実々の駆け引きの果てに待ち受ける、読む者の胸を抉る結末とは？

中国で社会現象を巻き起こしたドラマ化原作小説。

　　　　　　　＜文庫本下巻裏カバーより＞

凄い物語。

中学生の朝陽が係わってしまった殺人事件の目撃。

何故、警察に連絡しないのかは、ちゃんと納得する理由があった。

そして、日常に中の生活や他にも抱えている朝陽の問題がリアルに伝わる。

その中にいるように、朝陽や丁浩、普普の関係や気持ちが伝わって来る。

朝陽は両親が離婚していて母親と暮らしている。

父親が再婚して娘もいるからか、朝陽に冷たい。

周りの大人たちは、離婚していても朝陽は長男なんだから、ちゃんと世話を見て貰えるべきだと言う。

そこら辺の家族関係の考え方は日本とは違うのかも知れない。

そして、もう１つ大きな事件が起こる。

この物語は、どこに行きつくのだろうと思ったら、思わぬ方へ。

驚きだった。

朝陽に頭の良さは、何もかも半端なく、整然としていると言う事。

寂しさも伝わるが、これから先、どんな生き方をして行くのだろうと怖くもある。