しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「小暮写眞館」 宮部みゆき 

2011年02月17日 | 読書
「小暮写眞館」 宮部みゆき   講談社

花菱秀夫・京子夫妻は、結婚20周年を機に念願のマイホームを購入する。
それは、「古屋あり」の土地だったが、花菱秀夫はその古屋が気に入りそのまま住むことにする。
それは店舗付き住宅で、看板の『小暮写眞館』もそのままで。
高校1年の息子の英一には、それがどうも納得出来ない。
自分の親は変わり者だと思う。
小学生の弟、光はリビングにしたスタジオの背景幕を喜んでいた。
そんな、小暮写眞館には85歳で亡くなった店主、小暮泰治郎の幽霊が出ると言う噂があった。
ある日、英一の手に1枚に不思議な写真が渡る。
その写真をきっかけに、新しい世界が広がり始める。
英一が主人公の物語。




宮部さんの物語は面白い。
登場人物が、みんな清々しい雰囲気がある。
宮部さんの書く男の子はみんなどこか似ている。
ただ、英一はその中では、ちょっとほんわかしているけど。
そんな登場人物がいるということで、安心した気持ちになる。

大きな事件がなくても、長い物語をあまり飽きずに読み進められる。
あまりというのは、ちょっと退屈の思う場面もあったから。
心霊写真が、不思議な感じを盛り上げるように登場する。
しかし特にそれがなくても、別のアプローチでも成り立ちそうだ。
心霊写真の謎は、その物語として必要だが、あまり有りそうにない感じ。
物語の中でも別のとらえ方をするが、その方が正解かも。
オカルトからSFへ。
しかしそれでも、その思いはそれほど強いものではないような。
強いと言うか、怨念のようなものは含まれない、普通の思い。
だから、謎解きに関しては普通の展開で、あまり大きな驚きはない。
これは、本筋へのきっかけ。
引っ越して来た地域の、住民やその歴史を知り、それが自分の家族のことも知ることに繋がる。
英一が10歳の時、4歳で病死した妹の風子の存在が花菱家には大きい。
家族を失ったことの痛手が、4人の心それぞれにある。
家族を含め、人間の係わり合い方について、考えさせられる。

よく分からなかったのは、垣本順子のこと。
最後に、どんな過去があったか明らかになる。
それが、無愛想で「バッカみたい」の口ぐせになる性格にどう結びついたのだろう。
こんな攻撃的な性格。
過去を考えると、もっと人を避ける感じになる気がする。
店長は、人とも繋がりを避けていると言うが、攻撃的な性格はそうとも思えず、少々チグハグさを感じる。
段々重要な人物になって行くが、自分の中で垣本順子が掴み切れなかった。
英一との関係もちょっと不思議だ。

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