しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「しらみつぶしの時計」  法月綸太郎 

2016年09月24日 | 読書
「しらみつぶしn時計」  法月綸太郎   祥伝社     

10編からなる短編集。

「使用中」
喫茶店で打ち合わせをしていた、推理作家と編集者。
その時に出た密室物のパロディの話題が、やがて現実に。

「ダブル・プレー」
夫婦の不和をバッティングセンターで憂さ晴らしする夫、木島省平。
その場で呟いた言葉を聞かれ、交換殺人を持ちかけられる。
相手堀田秀雄が殺して欲しいのは、叔父だった。
省平が先に殺す事になり、その時保険をして秀雄が使ったバットを持ち帰り、それで叔父を殺す。
妻が死ぬのは、省平が出張の日の予定だった。

「素人芸」
リストラで、望みではない仕事をしている夫は、妻が働かないことと浪費癖がある事で不満を募らせていた。
ある日帰宅すると、妻が高価な腹話術の人形を買った事を知り激怒し、妻を殺してしまう。
物音を聞きつけた隣人が警察の連絡して、刑事が2人やって来る。
無事に切り抜けたと思った時、うめき声が。

「盗まれた手紙」
二重の鍵が掛けられた文箱が郵便で行き来する。
その途中で中の手紙が盗まれた。

「イン・メモリアム」
作家の追悼文を生前に書くという催し。

「猫の巡礼」
老年に達した猫は富士山の麓の聖地に巡礼に出すと言う。
完全家猫の飼い主は、どうしたらいいのか迷う。

「四色問題」
犯人に刺されて虫の息の被害者が手首をクロスに2回切る。
それはダイイング・メッセージだと思われた。
被害者はテレビで連隊物のブルー。
犯人は同じ連隊物の出演者だと思われる。
その色はレッド、イエロー、グリーン、ブラック。

「幽霊をやとった女」
元私立探偵のクォート・ギャロンは、今はニューヨークの裏町でルンペンたちと暮らしている。
ギャロンがコートを火事で焦がして駄目にした日に、魅力的な女性、ジャネットが仕事を依頼して来る。
夫クリスの様子がおかしいので、調べて欲しというのだ。
ギャロンは取り合わなかったが、翌朝ベンチで目が覚めると、ジャネットからコートと現金が置かれていた。
ギャロンはクリスの尾行を始め、彼が悩んでいる事を知る。
それで、教会に居る時に声を掛ける。
しかし、クリスはギャロンを見た途端、恐怖の表情を見せ拳銃で自殺してしまう。

「しらみつぶしの時計」
無数の時計が配置された不思議な回廊。
その閉ざされた施設の中の時計はすべて、たった一つの例外もなく異なった時を刻んでいた。
すなわち、1分ずつ違った、1日24時間の時を示す1440個の時計―。
正確な時間を示すのは、その中のただ一つ。
夜とも昼とも知れぬ異様な空間から脱出する条件は、6時間以内にその“正しい時計”を見つけ出すことだった!?
神が下すがごとき命題に挑む唯一の武器は論理(ロジック)。
奇跡の解答はいかにして辿り着けるのか。
        <単行本カバー見返りより>

「トゥ・オブ・アス」
間宮は街の通りで、高校時代の同級生、木下悠子と再会する。
高校とは違い都市での7年ぶりの再会だったが、お互いに直ぐに分かった。
間宮と木下は交際を始める。
しかし、それから2か月と少しで驚愕する事が起きる。
夕刊の載った殺人事件の記事で、殺された女性の顔写真が木下悠子だった。
しかし、被害者の名前は北沢靖子、容疑者は同居していた木下悠子だった。










バラエティの富んだ作品で、どれもが面白かった。
短編らしく、テンポもいい。
そして、悲惨な状況なのに、どこかユーモラスな要素もある。
「トゥ・オブ・アス」は「二の悲劇」の原型と言う事だ。
「二の悲劇」の感想をよんだら、複雑にし過ぎているとあった。
もしかしたらこちらの方が面白かったのかも知れない。
「使用中」は、本当にどう決断したらいいのか、最後まで書いて欲しかったくらい。
「盗まれた手紙」は、なるほどと感心するトリックで、サラリと読んだだけはピンと来なかった。
「しらみつぶしの時計」はまさに、クイズ問題のようだ。
時計の数を考えただけで、大変だとなる。
しかし、“そうとうのペナルティ”ってなんだろう。
そんなことも気になっていたけれど、これは最後まで分からないのだ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Bリーグ元年 開幕 | トップ | 大相撲秋場所 豪栄道初優勝 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事