ミス・サイゴンのいちばん長い日

2014年05月05日 | 海外旅行
 アオザイのファンである。

 アオザイとは、ベトナムの民族衣装。アジアではチャイナドレスと並ぶ男心をくすぐるアイテムといわれている。

 ベトナムを旅行した際、ホーチミンの街中でもアオザイを着た女性を何人も見た。なるほど、たしかに噂にたがわぬ可憐な衣装である。薄い絹でできたそれは涼しげで、実にさわやか。

 パッと見「白いチャイナドレス」といった印象だが、実際アオザイの元ネタはチャイナドレスであるらしい。

 ただ違うのは、チャイナドレスはスリットから顔をのぞかせる生足が魅力だが、アオザイの方はゆったりした長ズボンになっていること。

 単純な色気からいえばチャイナ服のほうが上かもしれないが、私の個人的好みからいえば足を隠しているアオザイの方が好きだ。

 これまた個人的嗜好だが、整った顔立ちでスタイルのよい、いかにもベトナム美人といった女性よりも、どちらかといえば野暮ったいというか、谷山浩子歌うところの「カントリーガール」みたいな女の子とかの方が逆に似合う気がした。

 セクシーな衣装とそれに「着られている」感のミスマッチの妙というのか。

 実際あるバス停で、頭が良さそうだけど、いかにも地味な縁なしメガネをかけた女の子を見かけた。

 ニックネームは間違いなく「委員長」といった彼女。これがもう色気がなくて、全然アオザイは似合っていないんだけど、ベトナムで見た女性の中で一番かわいかったものだ。

 私は「地味だけど頭のよさそうな女の子」が好みなのだ。「それが、あえてアオザイ」というのが、そそるのである。

 評判通り、アオザイはええもんですなあ。などと、女性の冷たい目線をよそに男としてつい盛り上がってしまうが、実際アオザイは日本人男子に大人気。

 旅行好きのカメコ(カメラ小僧の略)などはベトナムの女子校や女子大などに張りこみをかけ、アオザイ姿のベトナム美女を激写しているという。

 「アオザイいいですよー。生地が薄いから、下着が透けて見えるところがたまんないっすねえ」

 などとバッシバッシとシャッターを押しているそうである。うーむ、なんという阿呆……もとい激しい情熱であろうか。

 彼らによると、最高のシャッターチャンスは雨が降ったときであるという。

 アジア特有のスコールに打たれた彼女たちは、生地を体にべっとりと張りつかせ、スタイルをモロ出しにさせる。しかも下着は10倍増しで鮮明に見える。そこをカシャカシャカシャカシャカシャカシャ……。

 カメコ冥利につきるという話である。これにはさすが「アオザイいいよね」と語っていた私もあきれたものだ。なにをやっているのか。

 それではただの変態ではないか。日本男児としてそれでいいのか。うら若き女性の下着を激写など、まったくうらやましい……ではなかった嘆かわしい。

 もちろん硬派な私は、カメラでスケスケ美女を撮りたいなど、そのような下心など持ってはいない。

 持ってはいないが、今は環境問題や地球温暖化について大いに語られている時代でもあり、まあ何がどうということはないのだが、とりあえずベトナムの雨季について調べてみたりした。

 もちろん、そこにはいやらしいな視点など微塵も存在せず純粋にエコロジー的な観点からアプローチしているわけで、そこのところを懸命な読者諸兄は誤解してはならないが、なんにしても私の滞在中は一度も雨が降らなくて無念であった。

 そんなわけで全然下心などなく、やましい思いなどかけらもない私であるが、次ベトナムを訪れるときには地球に優しい観点からして、ぜひとも雨降りの季節に訪れたいものである。



コメント
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