今回ご紹介するのは「町長選挙」(著:奥田英朗)です。
-----内容-----
町営の診療所しかない都下の離れ小島に赴任することになった、トンデモ精神科医の伊良部。
そこは住民の勢力を二分する町長選挙の真っ最中で、なんとか伊良部を自陣営に取り込もうとする住民たちの攻勢に、さすがの伊良部も圧倒されて……なんと引きこもりに!?
泣く子も黙る伊良部の暴走が止まらない、絶好調シリーズ第3弾!
-----感想-----
今回は以下の四つの短編で構成されていました。
オーナー
アンポンマン
カリスマ稼業
町長選挙
「オーナー」の話に登場する人物は、かなり興味深かったです。
田辺満雄、あだ名はナベマン。
日本一の発行部数を誇る「大日本新聞」の代表取締役会長で、「東京グレートパワーズ」という球団のオーナーも務めています。
さらにはプロ野球の一リーグ化を推進しようとして、ファンやマスコミから批難されているとのこと。
選手会からストライキに遭ったりもしています。
はて…この話、どこかで聞いたことがありますよね。
どう考えても、現実世界で起きた一リーグ化問題のパロディのような気が。。。
ナベマンというあだ名も、いかにもあの人物が思い浮かびますし。
そんなナベマンには、とある悩みがあります。
その悩みが日に日に悪化し、伊良部の元を訪れることになりました。
しかし伊良部はとんでも精神科医なので、相手が大日本新聞社の会長でも、いつもどおりのとんでもない応対ぶり。
この伊良部とナベマンのやりとりはなかなか面白かったです。
ギャグタッチで気軽に読めました。
物語の終わり方もさわやかで良かったと思います。
よくあの展開から、この終わり方に持っていけたなという感じです。
さすが直木賞作家ですね。
「アンポンマン」の話も、興味深いものでした。
安保貴明、あだ名はアンポンマン。
IT企業「ライブファスト」の社長で、とあるラジオ局の株券を大量取得し、買収しようとしています。
さらに、そのラジオ局「ニホン放送」は、大手テレビ局「エドテレビ」の筆頭株主でもあり、ラジオ局を手に入れれば自動的にテレビ局の経営にも参画できるという旨味があります。
はて…なんだかこれも、どこかで聞いたような話ですね。。。
あだ名は、ドラえもんをアンパンマンに変えたらしく、このあたりのパロディぶりが面白かったです。
そんなアンポンマンには、平仮名の書き方を忘れていってしまうという深刻な病気があるのですが、当の本人は全く気にしていません。
パソコンで全ての文書が書けるのだから、筆記自体必要ないという考えのようです。
ナベマンのときと違って自分の病状への危機感がないので、物語には落ち着きがあるような気がしました。
この作品も、終わり方は良い感じだったと思います。
最後の「町長選挙」では、あからさまな公職選挙法違反の応酬がすごかったです。
伊良部が赴任することになった東京都下の離れ小島は、町長選挙の真っ最中でした。
「小倉派」と「八木派」の二つの陣営で繰り広げられる熾烈な町長選挙。
実弾と呼ばれる多額のお金が出てきたりして、とんでもないことになっていました。
まさに、勝つためなら手段を選ばないという状態です。
伊良部の父は日本医師会の理事なので、大きな力を持っています。
どちらの陣営も、何としても伊良部を味方に付けようとして、実弾攻勢に打って出てきました。
それに圧倒され、さすがの伊良部も引きこもりに…というわけです。
果たして、選挙に勝つのはどちらの陣営なのか、そして伊良部はどうなるのか、色々と気になりました。
今回はどの話も、終わり方がさわやかでした。
伊良部も、何だかんだで存在感があります。
このシリーズにはまだまだ続いていってほしいなと思います
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
図書ランキングはこちらをどうぞ
-----内容-----
町営の診療所しかない都下の離れ小島に赴任することになった、トンデモ精神科医の伊良部。
そこは住民の勢力を二分する町長選挙の真っ最中で、なんとか伊良部を自陣営に取り込もうとする住民たちの攻勢に、さすがの伊良部も圧倒されて……なんと引きこもりに!?
泣く子も黙る伊良部の暴走が止まらない、絶好調シリーズ第3弾!
-----感想-----
今回は以下の四つの短編で構成されていました。
オーナー
アンポンマン
カリスマ稼業
町長選挙
「オーナー」の話に登場する人物は、かなり興味深かったです。
田辺満雄、あだ名はナベマン。
日本一の発行部数を誇る「大日本新聞」の代表取締役会長で、「東京グレートパワーズ」という球団のオーナーも務めています。
さらにはプロ野球の一リーグ化を推進しようとして、ファンやマスコミから批難されているとのこと。
選手会からストライキに遭ったりもしています。
はて…この話、どこかで聞いたことがありますよね。
どう考えても、現実世界で起きた一リーグ化問題のパロディのような気が。。。

ナベマンというあだ名も、いかにもあの人物が思い浮かびますし。
そんなナベマンには、とある悩みがあります。
その悩みが日に日に悪化し、伊良部の元を訪れることになりました。
しかし伊良部はとんでも精神科医なので、相手が大日本新聞社の会長でも、いつもどおりのとんでもない応対ぶり。
この伊良部とナベマンのやりとりはなかなか面白かったです。
ギャグタッチで気軽に読めました。
物語の終わり方もさわやかで良かったと思います。
よくあの展開から、この終わり方に持っていけたなという感じです。
さすが直木賞作家ですね。
「アンポンマン」の話も、興味深いものでした。
安保貴明、あだ名はアンポンマン。
IT企業「ライブファスト」の社長で、とあるラジオ局の株券を大量取得し、買収しようとしています。
さらに、そのラジオ局「ニホン放送」は、大手テレビ局「エドテレビ」の筆頭株主でもあり、ラジオ局を手に入れれば自動的にテレビ局の経営にも参画できるという旨味があります。
はて…なんだかこれも、どこかで聞いたような話ですね。。。
あだ名は、ドラえもんをアンパンマンに変えたらしく、このあたりのパロディぶりが面白かったです。
そんなアンポンマンには、平仮名の書き方を忘れていってしまうという深刻な病気があるのですが、当の本人は全く気にしていません。
パソコンで全ての文書が書けるのだから、筆記自体必要ないという考えのようです。
ナベマンのときと違って自分の病状への危機感がないので、物語には落ち着きがあるような気がしました。
この作品も、終わり方は良い感じだったと思います。
最後の「町長選挙」では、あからさまな公職選挙法違反の応酬がすごかったです。
伊良部が赴任することになった東京都下の離れ小島は、町長選挙の真っ最中でした。
「小倉派」と「八木派」の二つの陣営で繰り広げられる熾烈な町長選挙。
実弾と呼ばれる多額のお金が出てきたりして、とんでもないことになっていました。
まさに、勝つためなら手段を選ばないという状態です。
伊良部の父は日本医師会の理事なので、大きな力を持っています。
どちらの陣営も、何としても伊良部を味方に付けようとして、実弾攻勢に打って出てきました。
それに圧倒され、さすがの伊良部も引きこもりに…というわけです。
果たして、選挙に勝つのはどちらの陣営なのか、そして伊良部はどうなるのか、色々と気になりました。
今回はどの話も、終わり方がさわやかでした。
伊良部も、何だかんだで存在感があります。
このシリーズにはまだまだ続いていってほしいなと思います

※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。

