読書日和

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「三匹のおっさん」有川浩

2009-04-25 17:33:18 | 小説
今回ご紹介するのは「三匹のおっさん」(著:有川浩)です。

-----内容-----
定年退職後、近所のゲーセンに再就職した剣道の達人キヨ(清田清一)
柔道家で居酒屋「酔いどれ鯨」の元亭主シゲ(立花重雄)
機械をいじらせたら無敵の頭脳派、工場経営者ノリ(有村則夫)
孫と娘の高校生コンビも手伝って、詐欺に痴漢に動物虐待…身近な悪を成敗!
”アラ還”活劇小説!

-----感想-----
この作品は還暦を迎えた三人の「おっさん」が主人公です。
最初は地味な展開を予想しましたが、読み始めてみると非常に面白い作品でした。
かつては「三匹の悪ガキ」と呼ばれた三人組が、今度は「三匹のおっさん」として自警団を結成し、町内の夜回りを始めます。
「還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか」という意気込みで始めた夜回りですが、この三人、ファッションは完全に「ジジイ」だったりします
キヨこと清田清一には祐希という高校生の孫がいて、「私服がジジイだからジジイって呼ばれてもしゃあねえよアンタら」などと言われています。
当初は仲の悪かったこの二人ですが、物語が進むにつれて徐々に息が合うようになってきて、祐希からファッションのアドバイスをしたりもしています。
そのおかげで最初の頃に比べて服装がお洒落になりました。
また、世代間のギャップを感じたのが以下の場面です。

「あら、この生成のシャツは品がいいわねえ。このくすんだ緑もおもしろいんじゃないの」
「くすんだ緑言うな、カーキって言え、カーキって」

キヨの妻である芳江と祐希の会話なのですが、くすんだ緑が面白かったです^^
たしかに、この世代の人にカーキという言葉は浸透していないかも知れません。
ファッション関係はやたらとカタカナ語が出てくるので、戸惑う人も多いのではと思います。

町内の夜回りをしていくうちに、色々なトラブルが起こります。
チンピラや痴漢とバトルになったりもしました。
しかし三匹のおっさん達にはそれぞれ武器があります。
キヨには剣道、シゲには柔道、ノリには隠し武器の数々が。
特にノリは、見た目はチビで弱そうな感じなのですが、いつも着ている上着の内側に色々な武器を隠し持っていて、なかなか危険なおっさんのようです。

三匹のおっさんたちの活劇小説のはずが、なぜか途中からベタベタのラブストーリーになったりもしました。
どうやらこれは作者の有川浩さんが得意とするスタイルのようです。
ずっとおっさんたちが出続けるよりは、若い人たちの物語もあったほうが面白いと思うので、良い感じにメリハリをつけられたのではと思います。

全体的には水戸黄門のような「悪を成敗」といった感じになっていました。
「三匹のおっさん」というのも、時代劇的な響きを感じますしね。
難しいことを考えずに気楽に読め、とても面白かったです
続編が読みたくなるような物語でした。


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