読書日和

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「乙女なげやり」

2009-04-21 23:07:13 | ノンフィクション・エッセイ
今回ご紹介するのは「乙女なげやり」(著:三浦しをん)です。

-----内容-----
ひとはいつまで乙女を自称しても許されるものなのか。
そんな疑問を胸に抱きつつも、「なげやり」にふさわしいのは、やっぱり乙女。
熱愛する漫画の世界に溺し、ツボをはずさね映画を観ては、気の合う友と妄想世界を語り合う。
気の合わない母との確執も弟とのバトルも、日常の愉楽。
どんな悩みも爽快に忘れられる「人生相談」も収録して、威勢よく脱力できる、痛快ヘタレ日常エッセイ。

-----感想-----
前回の「告白」が重い作品だったので、今回は軽めの作品にしました。

今作も三浦しをんさんの面白い日常が綴られていました。
しをんさんのことを「ぶたさん」と呼ぶ弟君も健在で、今回も偉大なる直木賞作家であるしをんさんに対して、無礼の数々を働いていました(笑)

そんなある日、なんとしをんさんの母親が腕を骨折してしまい、入院することになりました。
その際の、診察してくれた先生の言葉が笑えました。
「折れてるね。入院。そんで手術」
この場面を読んだとき、さすがにこんな投げやりな先生はいないだろうと思いました(笑)
特に「そんで手術」がウケました^^

他にも、しをんさんから見たドラマ「白い巨塔」の感想も面白かったです。
私はシリアスな人間ドラマとして毎回真剣に見ていたのですが、しをんさんから見ると「突っ込みどころ満載」なのだそうです。
東教授という登場人物がいるのですが、その人のセリフに「~たまえ、○○君」というのがあります。
ドラマを見ている限り、とくに気にならなかったのですが、しをんさんから見ると日常会話で「~たまえ」と言う人なんて見たことないとのことです。
たしかにそうだなあと思いました。
私も未だかつて「~たまえ」と言う人なんて見たことがないです
もしいるとしたら、やはり大学病院ですかね。。。

また、後の政治家の失言を予感させるような記述もありました。
出生率の低下について、道行く女性にアンケートが行われたことについて、しをんさんが意見を書いていたのですが、
「社会の要請に応えてポコポコ子どもを生む機械じゃないんだから、こういう無神経な数値を根拠に、道行く女性にアンケートなどするのはやめてもらいたいものだ。」
とありました。
「生む機械」で某政治家の失言が思い浮かびました。
たしか失言があったのは2007年だったと思います。
このエッセイは2003~2004年に書いているので、失言よりだいぶ前から「産む機械じゃないんだから…」と憤りを感じていたようです。
となると、失言があったときは人一倍頭激怒したのでは、と思いました。

そういえばこのエッセイの時点では、まだしをんさんが直木賞作家になる前ですね。
今は直木賞作家となり、作品が映画化されたりもして、この当時よりかなり威厳が出てきたのではないでしょうか。
となると弟君も改心して、「ぶたさん」呼ばわりを辞める日が来るかも知れませんね。
最近のエッセイではどんな呼び方になっているのか、気になるところです。
ぶたさんのままのような気もしますが。。。

というわけで、なかなか気軽に読めるエッセイでした。
シリアスな作品も良いですが、たまにこういった作品を読むのも良いなと思います。


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