読書日和

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「東京DOLL」石田衣良

2009-05-15 19:11:42 | 小説
今回ご紹介するのは「東京DOLL」(著:石田衣良)です。

-----内容-----
マスター・オブ・ゲーム=MGと呼ばれる天才ゲームソフト制作者・相良は、新作のモデルに翼のタトゥを背負った少女・ヨリを選ぶ。
映像モデルとして完璧な「人形」ぶりを発揮するヨリに、MGの孤独は癒されていく。
だが、彼女には愛する男の不幸が見えるという異能があった。
東京の今を描いた長編恋愛小説。

-----感想-----
恋愛小説とありますが、厳密には少し違っているような気がしました。
MGこと相良の、揺れる心の内が描かれていました。
相良は当初、ゲームのモデルとしてヨリをスカウトしました。
それが次第にヨリ自身にも惹かれていきました。
しかし相良には既に付き合っている人がいて、何となく波乱の予感がして…といった感じで、このあたりが恋愛的な要素かと思います。

それと、ヨリには好きになった人の不幸が見えるという特殊能力があります。
瞬間的に頭の中にイメージが現れるようです。
MGに対してそれが見えてしまったため、その後の展開がかなり気になりました。
MGはデジタルアーミーという会社でゲームの制作をしていて、会社の設立者の一人でもあります。
ゲーム制作の実力はかなりのもので、その腕を買って大規模ゲーム会社の社長がMGの獲得を狙っていたりもします。

東京の地名や場所がたくさん登場したのが印象的でした。
六本木ヒルズ、お台場、渋谷、汐留などが登場しました。
これらの場所を舞台に、どこかクールな物語になっていたと思います。

ゲームの制作について、興味深い文がありました。
「制作者の限界をすこしだけ超えた場所。傑作はいつもそこで生まれるのだ。」
なるほど、すこしだけ超えた場所…
たしかにそうかも知れないと思いました。
MGは今回、限界を超えるためにヨリの力を期待したようです。
そして、ゲームの原案書は無事に制作できていったものの、MGたちの会社に不穏な影が迫り、ヨリの予知が現実のものになっていきます。

最近は強烈に読み応えのある本を多く読んでいたこともあり、この作品の内容はやや淡泊に感じました。
それでも色々な場所が登場するので、場面の変化はたくさんありました。
まだ行ったことのない場所も登場していたので、そのうち訪れてみたいなと思います


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