読書日和

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「四畳半神話大系」森見登美彦

2010-01-27 23:55:52 | 小説
今回ご紹介するのは「四畳半神話大系」(著:森見登美彦)です。

-----内容-----
私は冴えない大学3回生。
バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。
悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。
いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!
さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。

-----感想-----
この作品は通常の時間経過型の物語とはちょっと違う、一風変わった作りになっていました。
作品は
第一話 四畳半恋ノ邪魔者
第二話 四畳半自虐的代理代理戦争
第三話 四畳半の甘い生活
最終話 八十日間四畳半一周

の全四話で構成されています。
どの話にも「四畳半」が付いているとおり、主人公は四畳半の部屋で暮らす冴えない大学生です。
これらの話はどれも同じ時系列に並列に並ぶ構成となっています。
そしてどの話も、大学3回生となった主人公がこれまでの不毛な大学生活二年間を嘆くところから始まります。
さらにどの話でも主人公は小津という友人に振り回され、ダメダメな学生生活を送ることになります。
つまり主人公の歩む道(過去から見た現在)はちょっとしたきっかけで移り変わり、それが4話用意されており、そのどれもがダメダメというわけです
この独特な構成はかなり斬新なのではないかと思います。
大抵の小説では時間は順次経過していくようになっていますしね。
私はこういった小説は初めて読みました。

特徴として、どの話にも全く同じ綴りとなっている部分があります。
明らかにコピー&貼り付けを使っています(笑)
これが2話目、3話目と進むにつれて面白くなってきて、「またこの展開か!」と思う場面が何度もありました^^
作品全体を通しての言い回しも独特で、「私とて」「なにゆえ」「これ如何に」など、高慢ちきな感じが滑稽でした。
こういった言い回しは「夜は短し歩けよ乙女」でも見られたものでした。
どうやら森見登美彦さんの得意とするスタイルのようです
また主人公は終始、「幻の秘宝と言われる薔薇色のキャンパスライフ」を手に入れるべく、奮戦しています。
薔薇色のキャンパスライフ。。。たしかに秘宝といえば秘宝かも知れませんね
実際にはどの話でも薔薇色とはほど遠い学生生活を送ることになる主人公。
むしろ散々主人公を振り回す友人の小津のほうが薔薇色のキャンパスライフを送れているようでした。

何とも独特な構成となっているこの作品、なかなか面白かったです。
他の作品も機会があれば読んでみようかなと思います


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