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2015年12月17日、自殺する8日前のツイート(つぶやき)。
※この記事は「電通の高橋まつりさん過労自殺事件について」からの続きとなります。
昨年末の12月23日、大手広告代理店の株式会社電通が「ブラック企業大賞2016」を受賞しました。
ブラック企業大賞とは過酷な長時間残業やサービス残業、パワーハラスメント、セクシャルハラスメントなどが横行する「ブラック企業」の頂点を決め、その存在を社会に広く伝えるための賞です。
参考までに歴代の大賞受賞企業は次のとおりです。
2012年 東京電力株式会社
2013年 ワタミフードサービス株式会社
2014年 株式会社ヤマダ電機
2015年 株式会社セブンーイレブン・ジャパン
2016年はディスカウントストアのドン・キホーテ、宅急便の佐川急便、お寺の仁和寺、郵便事業の日本郵便などがノミネートされた中、電通が大賞受賞となりました。
受賞理由を見ると電通は1991年に「電通事件」という、入社2年目の社員が月の残業が140時間を超える過労で自殺する事件を起こしているのに、その教訓が全く生かされずに同じ悲劇が繰り返されていることが重く見られたようです。
「電通の高橋まつりさん過労自殺事件について」の記事を書いた時に「労働基準監督署から正式に労災認定がされ、さらには労働基準法違反の疑いで東京労働局と労働基準監督署による立ち入り調査が入ったということは、既に社会的に「ブラック企業だ」と見られているということです」と書きましたが、この大賞受賞で名実ともにブラック企業の筆頭格として認識されることになりました。
そのすぐ後の12月28日、厚生労働省東京労働局が、社員に違法な残業をさせていたとして、労働基準法違反の疑いで法人としての電通と幹部1人(自殺した高橋まつりさんの上司)を書類送検しました。
電通では違法な長時間労働が常態化していたとみられることから、他の幹部の関与などを含め引き続き刑事責任追及に向けて捜査していくとのことです。
ここで改めて、「電通の高橋まつりさん過労自殺事件について」の記事で紹介した武蔵野大学グローバルビジネス学科教授の長谷川秀夫氏のフェイスブックでの発言を見てみます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/5e/7ee6d89ad8174ae84d5a9b0d6d26c6e7.jpg?random=07fc49afa4da27c10101d7461058b2f9)
武蔵野大学教授の長谷川秀夫氏はフェイスブックで「月当たり残業時間が100時間を越えたくらいで過労死するのは情けない」と言い、なぜか自殺に追い込んだ会社のほうではなく、自殺者のほうを非難していました。
ここで注目なのは厚生労働省東京労働局が「労働基準法違反の疑いで法人としての電通と幹部1人(今後さらに増えるかも知れないです)を書類送検した」という事実から分かるとおり、電通がやっていることは紛れもない「法律違反であり犯罪行為」だということです。
犯罪行為をするから東京労働局による強制捜査が入り、法人としての電通と地獄のようなブラック労働に関与した幹部が書類送検されるという、当たり前の結果になります。
これに目を向けようとせず「月当たり残業時間が100時間を越えたくらいで過労死するのは情けない」という体育会的根性論にすり替え、自殺するほうが悪いのだとして片付けようとするのは、いくら何でも酷過ぎると思います。
上に立つ人がこういう認識だから地獄のブラック労働で自殺に追い込まれる事件が後を絶たないのだと思います。
この教授のような認識の経営者は結構いるのではと思いますし、そういった人には「労働基準法違反で書類送検」という言葉の重みを考えてみてほしいです。
法人としての電通と幹部1人が書類送検されたことを受け12月28日、電通の石井直社長が記者会見を開いて辞任を表明しました。
過酷な長時間労働について「経営陣が歯止めをかけられなかった」と述べ、責任を認める発言をしています。
昨年の9月30日に労働基準監督署から正式に労災認定されたことで明るみに出た高橋まつりさん過労自殺事件はついに社長の辞任にまで発展しました。
ブラック労働による自殺は「あいつに根性がないのが悪いんだ」というような体育会的根性論にすり替えられるものではなく、自殺に追い込んだ責任は極めて重いです。
社長の辞任は法人としての電通と幹部1人の書類送検と合わせ、それを如実に示していると思います。
そして労働基準監督署も東京労働局も電通のブラック労働を許しはしませんでした。
これは電通と同じように従業員に対し地獄のブラック労働を強いている企業へのメッセージになっていると思います。
東京労働局の捜査によって電通のブラック労働の実態が詳細に渡って解明され、明らかになることを望みます。