しらの風景

自然と野鳥や生き物が大好き!自然の中には学びがいっぱい。
デザインの仕事をしながら、楽しく生きる智慧を探します。

映画『風のダドゥ』80点。(6/11*月)

2007-06-11 | 映画大好き!
映画「風のダドゥ」を見て来た。
ダドゥは馬のお腹の中で動く腸(命)の音。
それはどれだけ昔から受け継いできた音なのか。
風が同じ音を出す場所がある、その音が風のダドゥ。

(舞台挨拶する中田新一監督と主役の木村文乃ちゃん)

主人公は16才のリストカットを繰り返す女の子『歩美』。
自分の居場所を捜し出せずに、生きることに希望を失っている。
阿蘇の山の中で、ナイフで自分の手首を傷つけ倒れていたところを
装蹄師の桜田に助けられる。そこで元競走馬のメイワジョニーと出会い、
初めて同じ孤独感を馬と共有する。
やがて温かく見守る桜田をジィと呼び、心を少しづつ開いていく歩美。
そのうちに大人の中にも、自分と同じように
居場所を見つけられない人がいることを知る。
自分だけの孤独感から這い上がったのは、
そんな人たちと馬と自然との出会い。
阿蘇の山々の大自然が、大きく観る者に迫ってくる。
人は、自然と他の生き物とのつながりを見失ってしまった
ところから迷路に入り込んだのかもしれない。

やがて再生していく少女のひとつの物語。
風のダドゥが聞こえる場所は、この映画のシンボル的な場所となる。
この映画に出てくる役者は、ほとんどを
熊本出身者で固めた監督の意気込みが感じられる。
そして、大人にとって大切なのは見守ること。
それをこの映画のジィは教えてくれる。
でもそれはきっと今の社会では、容易いことではないだろう。
今の日本には、数えきれないくらい多くのリストカットを
している若い女の子がいる。大人の世代には理解し難い
この行動は、生きにくい社会の反映なのだろう。
大人さえも、イキイキと生きている人が少ないこの社会。

「生きることを難しく考えるんじゃない」
それはジィが歩美に伝えた言葉。

『今、生きている』・・何の欲も持たずにただ
それだけをシンプルに喜べることができるなら、それは幸せ。
それには、大いなる自然の中に自分をすっぽり
包み込むことが、近道なのかもしれない。
一人の少女の再生の物語は、なかなか感慨深かった。

*今回、初めて難聴者のために日本文字の字幕スーパーが
 入った映画だったが、音よりも文字のほうが先に目に
 飛び込んできて、とてもじゃまだった。
 それほど文字の力というものが強いのだと改めて感じさせられた。
 おかげで、映画というより劇を見ている気分になってしまって
 映画の世界にすっぽりと入り込むことができなかった、残念!


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2 コメント

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生きること (横浜ニート)
2007-06-15 23:08:47
 しらさん、こんばんは。確かに 『 生きる 意味 』 を 考えなければ ならないこと 自体、現代に 特有な マイナス面 なのかも しれないですね。人の死を 身をもって 学ぶ 場面が 少なくなった 副作用として、それと 対立する 『 生きること 』 も 曖昧に なってしまう。自然の中には 生きられるだけ 生きて 死んでいく 生き物の姿で あふれて いますからね。そういう 意味でも きっと 迷った 人々に ヒントを 与えて くれるんじゃ ないでしょうか。
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横浜ニートさん。 (しら)
2007-06-16 22:47:19
ほんと同感です!生き物の生きている姿の晴れやかさや死んでいく潔さ。自然の中にいると、いろんな場面を見せてくれますね。生きるも死ぬも、全てを天に委ねたような軽やかさを感じます。もしかしたら、自分の命と他者の命とがしっかりとからまっている(自分=他者)ことを知っているかのようにも見えます。
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