なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

最初から心不全

2015年02月07日 | Weblog

 昨日内科新患担当の先生(大学病院からの応援)から肺炎の患者さんの入院治療をお願いしたいと連絡がきた。先月末から微熱・咳・痰の症状が続き、地元のかかりつけの診療所で風邪薬の処方を受けた。症状が続いて、3日前の夜に当院の救急外来を受診した。呼吸器科の若い先生(大学病院からの応援)が診て、右肺炎と診断された(確かに右下肺野に浸潤影様の陰影がある)。酸素飽和度が正常でバイタルの以上がないため、クラビットを処方して1週間後(長すぎるが)に外来受診とした。食欲不振と倦怠感で予約日まで待てずに昨日再受診したのだった。3日前よりも炎症反応が上昇していた(白血球吸うが9000から11000、CRPが9から12へ)。

 胸部CTを追加してみると、両側に軽度の胸水があったが、右下肺の浸潤影様も陰影は軽快していた。クラビットが効いていて、治療日数の問題かと思ってしまった。抗菌薬を点滴静注にして経過を見ることにした。心電図は洞調律でV4-6にST低下があった。室内気で酸素飽和度は95%だった。14年前に大動脈弁閉鎖不全症で大動脈弁置換術を受けていた。

 今日の昼前から血圧が(入院時の110~120mmHgから)80mmHg台に低下して、酸素飽和度も90%(室内気)に低下した。胸部苦悶・動悸があり、嘔気も訴えた。ここでやっと心臓だと気付いた。

 胸部X線で心拡大・肺野全体に肺うっ血があった。最初の受診時の陰影も肺うっ血だった。心電図は頻脈性心房細動になっていた。要するに先月末から心機能が低下していて、それは感染症(気道感染)が契機になった可能性がある。それが、発作性心房細動になったことで、さらに悪化したのだった。日直は大学病院循環器科から応援医師(大学院生)で、頻脈性心房細動に痔御寄進0.25mg静注をしていたが、心拍数は140~150/分が110~120台/分になっただけだった。血圧は80~100mmHgでβブロッカーを使いにくかった。2週間の経過で心機能が低下していて、こうなると置換弁の働きもあやしくなってくる。

 当院循環器科は週末はひとり体制で、心疾患の悪化例を相談しても、専門病院へ搬送して下さいとなってしまう。直接、いつもお願いしている心臓センターのある病院に連絡してみると快く受けてくれたので、ありがたく搬送した。診断力のなさにがっかりして帰宅した。今日は土曜日で、予定が二つ入っていた。ひとつは駄目になったが、もうひとつは搬送できたおかげで行くことができた。

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