なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

低体温で搬入

2015年02月16日 | Weblog

 先週の日曜日に66歳男性が家族に連れられて救急外来を受診した。家族といっても、夫婦は離婚していて、患者さん自身は一人暮らしをしている。アルコール多飲があり、詳しくは聞かなかったが、DVもあったのだろうか。息子夫婦も元妻が連れてきたのだった。

 半年前くらいから、次第にやせてきた。四肢、とくに両下肢は極端に細かった。嚥下障害もあるという。その日特に悪化したわけではない。受診を勧めていたが拒否していたそうだ。たまたまその日の朝に立ち上がろうとして転倒して、受診する気になったということだ。胸部X線で誤嚥性肺炎などはなかった。貧血や低蛋白の傾向があるが、軽度だった。以前より酒量は減っているが、アルコール性肝機能障害を認めた。アルコール多飲と食事をまともにしていないためなのかとも思われたが、異様に下肢が細く、神経疾患も疑われた。意識は清明で、会話もそれなりにできた。

 平日の神経内科の外来を受診してもらった。神経内科医(大学病院からの応援)の診断では、神経疾患というよりも飲酒はするが、食事をきちんととらない生活によるのではということだった。腹部CTの予約をして悪性疾患の検索をする予定になっていた。

 一昨日土曜日に、その患者さんが救急搬入された。26.5℃の低体温だった。なんでもこの寒い時期にもかかわらず、家の窓が開いていたそうだ。暖房も付けない室内で倒れているところを(元?)家族が発見して救急要請した。肝機能障害というよりも、CK高値があり、横紋筋由来酵素の上昇らしい。日直だった内科の若い先生が主治医となって入院した。

 保温と温めた点滴で体温は次の日には36℃台に上がって、話もできるようになった。神経内科外来で検査した血清ビタミンB1が低値で、経口薬が処方されていたが、入院後は静注で大量に投与された。頭部MRIを行ったがウェルニッケ脳症の所見はなかった。まだ検査値の異常はあるが、生命は助かりそうな見込みだ。最終的にどうするかだが、施設入所にたどり着けるだろうか。

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