なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

どんな生活なのか

2015年02月06日 | Weblog

 一昨日、76歳男性が動けなくなっているところを発見されて救急搬入となった。この方は姉宅の敷地内にプレハブの家(一部屋のみ)を建ててもらって、一人で住んでいた。電気はあるが、水道・ガスはない。水は姉宅にもらいに行っていた。数日間、水をもらいに来ないと思って姉の長男の嫁が行ってみると、中から弱くうめき声が聞こえたので、ドアを無理に開けて(そのくらいで開くということ)室内に入ると、こたつに足先だけ入れて仰向けに倒れていた。このままの姿勢で数日間過ごしていたらしい。生活保護を受けているということだった。

 搬入時、呼名に弱く返事をしたが、うとうとしていた。背部から臀部に褥瘡ができていて、表皮はべろっと剥けていた。胸部X線・CTで両側肺炎を認め、それが主病だったと思われる。脳血管障害はなかった。著明な腎障害・肝障害があり、CKが上昇していた。凝固系異常も相当なものだ。血圧は100mmHgあったが、体温は33℃だった。そのまま一晩過ごしていたら、朝には亡くなって発見されたかもしれなかった。

 入院して、温めた点滴と電気毛布で、すこしずつ温まってきて翌朝には35℃だった。ふだんどの程度の理解力があるのかわからないが、普通ではないのだろう。治療して、少しずつ検査値は改善して尿量も確保できた。

 一番近い病院は当地の基幹病院だが、満床で受け入れできなかった。まあ、当院向きの患者さんであり、当院の中でも内科向き(行き倒れ、身寄りがない、いろいろ訳あり、などを担当している)だと病棟の看護師さんに言われた。ちゃんと自宅?もあることだし、甥はたぶん相談に来てくれるのでまだ随分いい方だと思う。

コメント
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