なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

病棟急変

2018年04月01日 | Weblog

 昨日土曜日は日直だった。外来受診は少なく、救急搬入も不思議になかった。これだけだと楽な日直だが、午前中から3名の入院患者さんの急変した。

 ひとりは83歳女性で3年前に心不全で循環器科(当時)に入院した既往がある。内科クリニックで治療を継続していて、喘息もあったがそちらの処方は中止になっていた。今回は今月初めに喘鳴がひどくなって紹介された。心不全の悪化とはいえず、気道感染による気管支喘息発作と判断された。

 抗菌薬とステロイド(デカドロン点滴静注)で喘鳴は軽快してきたが、予想よりも長引いて、プレドニン内服をゆっくり漸減していた。途中から吸入ステロイド(ICS/LABA)を開始して、プレドニンを中止する直前だった。

 前夜に胸部苦痛を訴えたと後で看護師さんが言っていたが、すぐに治まったそうだ。昨日午前10時ごろにナースコールがあり、冷汗と血圧低下(76/50mmHg)を認めた。意識も低下した。心電図では広範にST低下があり、ST上昇はなかった(aVRのST上昇とはいえなかった)。CK-MBの上昇はないが、トロポニンT陽性だった。ふだん2ケタのBNPが4ケタになっていた。ACSによる心不全と判断される。

 心臓血管センターのある病院へ連絡すると、幸いに受けて受けてもらえて、救急搬送した。点滴を開始して、血圧100ちょっとになって、会話もできるようになっていた。看護師さんが同乗していたが、搬送途中の救急車内から連絡が来て、また血圧が70台ですという。点滴を早めてもらって、何とか搬送先に着いた。

 

 もうひとりは、90歳女性で地域の基幹病院循環器内科からの転院した患者さんだった。認知症があり、施設入所を希望されていて、当院でリハビリをしながら施設待ちだった。施設から実態調査が来て、もうすぐ入所できる見込みだった。

 先方の病院には、心不全で入院して、発症時期は不明の陳旧性心筋梗塞と診断されていた。入院当初はかなり悪かったらしく、高齢でもあり、病状悪化時はDNRでしたと診療情報提供書に記載されていた。

 当院に転院してすぐに、浮腫の増加・胸水増加があった。もともとの利尿薬(ダイアート・アルダクトンA)にラシックス・サムスカを追加して何とか軽快していた。

 昨日朝から呼吸困難を訴えて、喘鳴が聴取された。胸部X線でまた胸水の増加・肺うっ血があった。内服薬としては限界になる。血圧は保たれているので、ラシックス点滴静注・ハンプの点滴静注を開始した。心電図では転院時とほとんど変わらないが、心筋梗塞の範囲が少しずつ広がっているのかもしれない(転院時の心エコーでEF40%)。

 家族(娘は看護師)と相談したが、基幹病院での治療を希望された。ベット事情の厳しい病院だが、連絡すると日直医から循環器内科に相談するのでといったん返事待ちになった。その後搬送を受けてくれたので、さっそく救急搬送した。(さすがに自分の病院から紹介した患者さんなので、受けてくれるとは思っていたが)

 

 さらに両側肺炎で入院した91歳女性は一気に陰影が広がった。3日前の夜間に発熱で入院したが、両側の肺野の複数個所に浸潤影とスリガラス様陰影が散在して、奇異な印象だった。細菌性肺炎ではないかもしれないと思いながら、酸素吸入は不要だったのでまずは抗菌薬投与で開始した。

 発熱が続いて、昨日胸部X線・CTを再検すると、両側肺野にスリガラス様陰影がまだらに広がっていた。心房細動・心不全もあるので、その影響もあるが、これは細菌性肺炎ではなく。間質性肺炎などの何らかのびまん性肺疾患ではないか。白血球数13800、CRP21.5と炎症反応が上昇していた。

 これは呼吸器科のある病院で診てもらった方がいい。患者さんは高齢だが認知症はないし、できるだけの治療を受けさせたい。家族を呼んで、病状をお話して救急搬送を勧めた。家族の希望はここで診てくださいだった。このまま進行すると数日持たない可能性が高いとお話したが、転送は希望しなかった。専門科に行っても、年齢的に気管支鏡の検査や人工呼吸器管理まではしないとは思うが。

 

 

 

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