5月下旬に頻尿で93歳女性が泌尿器科外来を受診した。検査で貧血・低蛋白血症を認めて、消化管精査のため消化器科の外来に紹介された。上部消化管内視鏡検査は異常がなく(萎縮のみ)、CTでざっと見たところ大腸癌もなさそうだった。
消化管は異常がないが、思いがけない病変が描出された。左肺尖部、左胸腔内の下行大動脈背側、脾門部に腫瘤を認めた。それぞれが同じ病変と思われるが、いったい何だろうか。
腫瘍マーカーをみても参考にならなかった(可溶性IL2受容体抗体は1200と軽度上昇)。放射線科の読影レポートには造影CTを勧めるとあったが、造影しても確定はできないだろう。家族には、何らかの悪性腫瘍と推定されるので、早晩全身状態が悪化してくるだろう、と伝えたそうだ。
そのうち発熱(37℃台)と食欲不振があり、昨日内科外来を受診して入院した。感染症らしさに乏しかった。腫瘍熱?も否定できないが、よくわからない。点滴して経過をみるしかない。
腫瘍は腫瘍だと思うが、これは何?。一番は悪性リンパ腫?。70歳代くらいなら、検査治療目的でがんセンター紹介だが、さずがにこの年齢だと紹介はない。
さっき、がんセンターから連絡がきた。悪性リンパ腫で化学療法をしていた70歳代男性が、衰弱して治療適応がなくなって点滴だけしているそうだ。住所が当地の患者さんなので転院を依頼したいという。がんセンターからも時々転院依頼が来るようになった。
(その後)
頭部CTで2か所に脳転移を認めた。左肺の腫瘤のどちらかが肺癌原発巣で脾門部の腫瘤は肺癌の左副腎転移と判断された。診断は左肺癌・脳転移・副腎転移。