なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳転移変わらず

2019年06月25日 | Weblog

 86歳男性はがんセンターから緩和ケア目的で転院してきて、現在入院治療を継続している。左肺癌で全摘術を受けたが、その後に多発性脳転移が判明した。積極的な治療はできないので、緩和ケアのみとなっていた。脳圧亢進にはデカドロン内服が効いているようだ。

 食事摂取も良好で、ベットから自分でポータブルトイレに移動したり、車いすに移乗して自力で動き回れるので、本来ならば自宅静養になる。そうできない家庭の事情があった。

 娘さんと二人暮らしだが、娘さんは発達障害(?)があるそうだ。なんとか福祉の仕事をされているが、患者さんのわがままな性格もあり、一緒にいるとパニックになるという。また患者さんの問題で自宅はごみ屋敷状態という話だった。病院でも自分のベットの周りにかなりの荷物を置いていた。注意すると怒る。

 がんセンターからは、療養型病床のある病院に入院するまでのつなぎで貴院に転院をお願いしたいとあった。あったが、それは無理だろうと判断された。がんセンターの入院費を、少しずつ分割して支払っている状態で、当院の入院費は支払っていない。療養型病床のある病院は私立なので、そういうことではまず受けない。介護保険は申請したが、施設入所費用は出せないので申し込めない。

 結論としては最期まで当院入院継続になる。当院では一般病棟と地域包括ケア病棟を使用して、3か月弱は入院継続ができる(収益にこだわらなければ長期も可能は可能)。肺癌脳転移はDPCの点数が高いので、2か月一般病棟入院にして、その後地域包括ケア病棟に移動することにした。60日の期限が過ぎてまた一般病棟に戻ると見込まれる。

 病院としての大人に事情はあるが、患者さん自身は快適な入院生活を過ごしていて何よりではある。頭部MRIを撮影して、転院前の頭部MRIと比べてみたが、ほとんど不変だった

 

 

 昨日の夕方58歳女性が急性腎盂腎炎で今後病棟に入院していた。内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が外来で高血圧症の治療を開始していた方で、最初に診た新患担当の先生(大学病院からバイト)から引き継いで主治医になった。培養検査を提出して点滴と抗菌薬投与を開始した。

 夜間に血圧が70台に低下して、急速輸液に反応が悪く、ノルアドレナリンの持続静注を使用して、朝には血圧100程度に戻ってきていた(下肢拳上を辞めるとまた血圧が下がるという)。

 当方は今日高速道路の事故でちょっと遅れて病院に着いた。受け持ちの肺癌の患者さんが早朝から高熱・酸素飽和度の低下(肺炎併発)があったので、検査と治療の指示を出していた。他の先生からそのショックの話を聞いて、早朝から来ていた若い先生がいる病室に向かった。

 画像上は尿路閉塞はない、昨日の検査では炎症反応と腎障害(脱水症による腎前性腎不全)だけだったが、今日は血小板l減少も呈していた(D-ダイマー上昇は前日から)。輸液増量とノルアドレナリンがけっこう入ってその状態なので安心はできない。

 結局年齢が若い(高齢者ではない)ということと、家族が医療関係者ということも考慮して、敗血症性ショックとして地域の基幹病院救急部に連絡して転送させてもらった(ありがとうございます)。

 昨日はwalk inで普通に内科外来を受診しているが、来院時のバイタルが血圧88・脈拍数122だから、すでに敗血症性ショックだったことになる(ふだん高血圧症)。脱水症とは判断していたので点滴は多目に入れていたが、結果的には不足していた。

 

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