水曜日に内科医院から47歳女性が紹介されて、内科新患担当の内科の若い先生(内科専攻医)が診察した。診療情報提供書には、8日前から左背部痛があると記載されていた。
ふだんは高血圧症でそちらの医院に通院している(Ca拮抗薬1剤のみ)。血液検査や胸部X線で異常を認めず、金骨格系の痛みとして整形外科クリニックに紹介していた。「スジの痛み(患者さんの言葉)」とされて、NSAID(セレコックス)が処方されたが、さっぱり効かないという。帯状疱疹はなかった。
血液検査・尿検査は異常がなく、心電図・胸部X線・胸部CTでも異常を指摘できなかった。いったい何でしょうか、と相談された。具体的にどこが痛いのか聞いただけではわからない。
処置室で点滴をしていたので行ってみた。左胸骨左縁から3~4cmの第4・5肋骨の肋軟骨部2か所に1指頭分の圧痛部位がある。左胸部から背部にかけての圧痛はなかった。深吸気や身体をひねったり起き上がったりすると痛みが増強する。
そういえば「一発診断」にあったなあと思って、宮田先生の本をめくってみると、「肋軟骨炎」がある。これかなあ。治療は対症療法でを行って、安静を指導して、重大な疾患ではないと保障を与えるとある。
アセトアミノフェン1500mg分3の内服で経過をみることにした。点滴をしていたので、アセリオ1000mgを1回点滴静注しておいた。1週間後に来てもらうことにしたが、さてどうなるか。
一発診断は、「1本の指で疼痛部位を示すことのできる、圧痛を伴う胸痛は肋軟骨炎」になっている。1本の指で胸痛の範囲を示すことができる場合は急性冠症候群を否定できる(特異度98%)、らしい。