なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

CareNeTV 2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム前編

2023年11月13日 | 糖尿病

 CareNeTVの「Dr.前野のスペシャリストにQ」で、「糖尿病アップデート編」が始まった。講師は岩岡秀明先生。所属が船橋医療センターから鎗田病院に代わっていた。(年齢的には定年だったのだろう)

 岩岡先生といえば、「ここが知りたい!糖尿病診療ハンドブック」(中外医学社)の編集をされている。「ここが知りたい!」シリーズでは、この病尿病が第5版になっていて、一番定評がある。2~3年おきに改訂してきているので、来年あたりは改訂になるころだ。

 

プライマリ・ケアの疑問
Dr.前野のスペシャリストにQ
糖尿病アップデート編

第1回 2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム前編

糖尿病治療で重要な「ABCD
A:HbA1c 血糖コントロール
B:Blood Pressure 血圧コントロール
C:Cholesterol 脂質コントロール
D:Don't Smoke 禁煙

ADA(American Diabetes Association)の2型糖尿病血糖降下薬の選択アルゴリズム2023

健康的な生活習慣行動:糖尿病事故管理教育及び療養支援
・2型糖尿病 高リスク患者における心腎リスクの低減
・血糖・体重管理目標の達成・維持

・治療上の惰性(Therapeutic Inertia)を回避するため3~6か月ごとに定期的に治療の再評価と見直しを行う
・メトホルミン使用の有無にかかわらず考慮される→SGLT2阻害薬/GLP1受容体を推奨する
・CKD合併例においては、SGLT2阻害薬が優先される
・ハイリスク患者では、低血糖の回避が優先される

ADAでは基礎薬としてメトホルミン使用を推奨している

目標A:心腎ハイリスク患者のリスク低減
動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)あり、またはハイリスクの場合
 GLP1受容体作動薬またはSGLT2阻害薬を使用
 目標未達成ならば、両剤の併用を考慮する
▸心不全ありの場合
 SGLT2阻害薬
▸CKDありの場合
 最大量のACE阻害薬/ARBに加えてSGLT2阻害薬
 またはGLP1受容体作動薬を使用(ただしSGLT2阻害薬が優先)
 目標未達成ならば、両剤の併用を考慮する

目標B:血糖/体重管理目標の達成と維持
▸血糖管理
 メトホルミンまたは、十分な血糖降下作用を有する薬剤(GLP1受容体作動薬GIP/GLP1受容体作動薬SGLT2阻害薬;併用を含む)を使用
▸体重管理目標の達成と維持
 体重減少作用の強度を加味して薬剤を選択
 例えば、GLP1受容体作動薬セマグルチド
 GIP/GLP1受容体作動薬チルゼパチドは「超強度」

HbA1cの低下に注射薬が必要な場合
  ↓
多くの場合インスリン製剤の前にGLP1受容体作動薬又はGIP/GLP1受容体作動薬を考慮
  ↓
HbA1c目標値が達成できない場合
  ↓
Basalインスリン製剤を追加

▸日本人はGLP1受容体作動薬使用前に血中Cペプチドを測定する
Cペプチドインデックス=Cペプチド÷血糖値×100
0.8以下の場合はインスリン使用

糖尿病合併症の軽減
・血糖管理
・血圧管理
・脂質管理
・心血管及び腎臓に対するベネフィットがある製剤
生活習慣の改善及び糖尿病教育

Dr.前野のここがポイント

ADAの薬物療法アルゴリズム
・糖尿病治療で重要なABCD
血糖、血圧、脂質管理、禁煙
・3~6か月毎に治療の再評価と見直しを行う

治療目標
1.心腎ハイリスク患者のリスク低減
2.血糖/体重管理目標の達成・維持
薬剤選択
ASCVDリスク有GLP1受容体作動薬SGLT2阻害薬
心不全SGLT2阻害薬
CKDSGLT2阻害薬次GLP1受容体作動薬
・インスリン製剤の前にGLP1受容体作動薬が推奨されている
・日本人の場合は血中Cペプチド測定で内因性インスリン分泌があることを確認してから使用する

 

 

薬物療法ガイドライン | 糖尿病診療メモ

コメント
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