11月10日(金)は当直だった。翌11日(土)の午前8時前に市内の救急隊から搬入依頼がきた。
糖尿病・高血圧症・ラクナ梗塞で市内のクリニックに通院している85歳女性が、嘔吐して動けないという。救急車に収容して体温を測定すると38℃あった。咳はしていない。酸素飽和度が90%(室内気)で酸素吸入を開始していた。
明らかな呼吸器症状はないが、肺炎だろうか。来てもらうことにした。
コロナ、インフルエンザの迅速検査は陰性だった。胸部X線・CTで確認すると、両側肺の背側(上葉~下葉)にすりガラス陰影と浸潤影が混じったような陰影があった。
嘔吐したのは両側肺炎による体調不良のためだろう。昨日夕方から調子が悪いと本人も言っていたそうだ。
時間外なので、血液検査は簡易検査になるが、白血球18400・CRP4.2と上昇していた。CRPからみて昨日からのイベントだろうか。
酸素吸入3L/分で飽和度は97%まで上昇した。認知症はなさそうで、普通に会話できた。午前9時過ぎには外来の処置が終了して、病棟に上げるばかりになったから、大至急の処置になる。(午前中に用事があったので急いでいた)
11月13日(月)には解熱して、酸素吸入は2L/分に減量されていた。聴覚言語療法士(ST)に診てもらうと、嚥下調整食4からでいけます、といわれた。
画像からは誤嚥性肺炎に見えるが、嚥下障害はないのだろうか。糖尿病薬は休止していたが、降圧薬は内服できれば継続にしていた。
「絶食にして、内服薬は内服できれば継続」という指示を出してしまうが、「誤嚥性肺炎の患者さんに錠剤を飲ませるのは、ピーナツを丸のみにして下さいというのと同じ」、と誤嚥性肺炎の本に書いてあった。