なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

化膿性脊椎炎

2020年06月11日 | Weblog

 先週の金曜日に、隣町の診療所から化膿性脊椎炎疑いの90歳女性が紹介されてきた。ふだんは高血圧症・心房細動などで通院していた。定期受診の日だったが、数日前からの腰痛を訴えていた。

 下部胸椎の自発痛・叩打痛を認めて、37.1℃の微熱があった(発熱としては微妙ですがと紹介状にあった)。軽介助で歩行可能だそうだが、腰痛がひどくてADLは低下していた。打撲の既往はないが、認知症があり、本人も家族もわからないこともある。NSAIDで経過をみてしまうような症状ではあった。

 内科の若い先生が外来で診て、血液検査では白血球14800・CRP4.5と炎症反応の上昇を認めた。骨条件を含めた胸腹部CTをおこなっていて、肺炎像はなかった。尿所見は、沈査で白血球50-99/HPF・細菌(+)だったが、尿路感染症は除外診断であり、無症候性細菌尿かもしれない。

 ここで相談されたが、化膿性脊椎炎疑いだとMRIをみないとわからない。MRI検査が空いていたので、すぐに行うことができた。第11胸椎の椎体にT1強調画像で低信号、T2強調画像脂肪抑制画像で高信号を認めた。化膿性脊椎炎と判断される。

 血液培養2セットを提出して、セファゾリン(CEZ)1g3回で治療を開始した。入院後は解熱して(もともと微熱程度だが)、炎症反応も白血球8000・CRP1.6と軽減した。血液培養の結果はまだ出ていないが、菌は出ないかもしれない。

 紹介してきたのは自治医大卒後5年目の若い先生だった。病歴と診察だけで化膿性脊椎炎疑いとして紹介してきたわけで、見事な判断。恐れ入りました。

 

 

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