56歳男性が左股関節痛で内科外来を受診した。左股関節部の疼痛がひどく、家族の話では自宅で寝たきり状態になってしまったという。今日は同居している母親とケアマネが付いてきて、車いすで診察室に入ってきた。
この方はもともと精神遅滞があり、さらに右中大脳動脈領域の広範な脳梗塞で、左半身不全麻痺(上肢はほぼ完全麻痺)がある。頭部CTで見るとビックリするくらいの後遺症だが、何とか自力歩行できていた。
昨年12月21日に転倒して、左臀部から大腿部を打撲した。救急外来担当の外科医がX線検査をして、骨折はなかった。相談された整形外科医がCTで確認したが、やはり骨折はなかった。打撲として鎮痛薬が処方されて帰宅した。
診察したところでは(下肢を持ち上げて動かした程度だが)骨折しているようでもない。元々のADL低下が打撲によって悪化したのかとも思った。頑張って動こうとするような意欲は感じられない方だから。
ヒビ程度の軽度骨折があるのかもしれないと思い直して、MRIで確認することにした。MRIでは左大腿骨頭にT2WIで高信号が描出された。これは骨折ではなくて、何だろうか。
整形外科医に診てもらうと、「骨挫傷」ということだった。画像が決め手となって(打撲程度では入院にしていないから)、整形外科入院でリハビリを行うことになった。手術の適応はないと言っていたが、骨頭壊死にまでなれば考慮するかもしれない。
骨折がなくても長引く骨の痛みがある時は骨挫傷の可能性があるということらしい。
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