1月15日(水)に医局のコンピュータの置いてある部屋で、外来受診した患者さんの画像を見ていた。内科の先生が前日に受診した患者さんの画像を出して、声をかけられた。
患者さんは50歳の男性で、通院している市内の内科医院から肺炎・胸膜炎の疑いとして紹介された。内科医院で高血圧症・糖尿病の治療をしていて、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)で大学病院にも通院していた。
2019年に胸痛で当院の循環器科(当時はあったが、その後は閉科)を受診した。心エコーで左室の全周性肥厚を認めるが、心電図では左室肥大の所見はない。心臓カテーテル検査では右冠動脈の50%狭窄のみで、βブロッカー内服で経過観察となっていた。
昨年末に胸部痛(胸骨裏面)の痛みがあり、体動時に痛むということで筋骨格系の痛みとしてNSAIDsを処方して軽快したそうだ。1月13日から再度同様の痛みが生じて受診した。ただ今回は、胸部X線で両側胸水と両肺野に透過性低下があった。
当院を受診した時は、血圧124/85・脈拍数114/分・体温37.1℃で酸素飽和度が80%台と低酸素を呈していた。
心電図ではほとんど異常なしだった(機械読みでは非特異的T波異常)。胸部CTで確認すると、両側胸水と肺うっ血を認める、ように見える。
白血球11100・CRP1.5と感染症急性期の所見のような結果だった。BNPは7.6と正常域で、心拡大がなく、むしろ小さめに見えることから心不全とはし難かったそうだ。
ちょうど当院はその日入院ベットがなかった。基幹病院呼吸器内科に肺炎・胸膜炎として紹介すると、幸いに受けてもらえたそうだ。
肺炎なのかといわれると、説明し難い。画像所見は心不全にしか見えない。確かに心不全の所見として疑問のところはあるが、もともと肥大型心筋症は間違いなくある。
心不全ならば、基幹病院内で呼吸器内科から循環器内科に回されるので問題はないか。当院としては「高次医療機関に搬送」でよかったのだろう。
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