なんでも内科診療日誌

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2024年02月18日 | 精神科疾患

 エチレングルコールで事件が起きている。そういえば当院でもあった、と思い出した。

 

 2018年11月1日(土)の午後5時過ぎに18歳男性が倦怠感・脱力で受診した。祖父がおぶっての受診だった。当時在籍していた内科専攻医の若い先生(自治医大の義務年限)が診察していた。

 血圧は120/75で体温は35.8℃だが、頻脈(122/分)と頻呼吸(30回以上/分)が見られた。会話はできるが、見当識障害があった。

 血液検査で白血球31700・Hb18.8と炎症反応の上昇・血液濃縮があり、血清クレアチニンは1.75mg/dlと上昇していた。LDHも313と異常値だった。

 血液ガスで、pH6.924・PaO2 137・PaCO2 10.6・HCO3 2.2・BE -27.9と著しい代謝性アシドーシスを認めた。本人からの聴取が困難で原因は不明だったが、若い先生は高次医療機関で治療を要すると判断して、大学病院救急科に搬送した。(内科専門医のホスト病院は医療センターなので、大学病院がだめならそちらに交渉したのだろう)

 大学病院救急科からの返事には、もともと統合失調症があること、エチレングリコールによる急性腎不全と診断して、血液濾過透析を行ったこと、深部静脈血栓症を来してDOACを処方していること、が記載されていた。

 大学病院の精神科に通院していて、抗精神薬(オランザピン)や安定剤が処方されていたようだ。

 

 2019年8月22日には心肺停止で当院に救急搬入された。大学病院精神科に入院していたが、その前日に祖父の家に外泊に来ていた。室内を歩いていて、急に倒れて意識がなくなった。

 救急隊到着時は心室細動を認めて、AEDを使用したが反応せず、心静止となった。心肺蘇生・アドレナリン静注で搬入され、蘇生術を続けたが反応はなく、死亡確認に至った。救急当番の女性外科医(当時)が対応したが、その後は外科のトップの先生が、警察との対応を行った。

 Autopsy imagingでは両側肺に肺水腫を認めた。警察の検視のあと解剖のため大学病院に送られることになった。

 

 祖父の話では、3日前にアマゾンから本人宛に荷物が送られてきていたそうだ。中身はわからない。解剖の結果は来ていないので不明だが、前回のことも考えるとエチレングリコールかもしれない。

 エチレングリコールは、アマゾンでもモノタロウでもふつうに購入できる。

 

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