なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

統合失調症、治療中断

2024年03月19日 | 精神科疾患

 3月16日(土)は当直だった。日付が変わる直前に47歳男性が救急搬入された。

 症状は動悸ということだったが、統合失調症で治療を中断しているという。身体的な評価は行うが、統合失調症の入院治療はできないことを家族に確認してもらった。

 以前にも受診したことがあり、要注意の印が付いていた。「暴力団の一員だと名乗っている」とあった。(病状的にとても勤まらない)

 搬入されると、救急隊が伝えてきた動悸があるわけではない。正常洞調律だった。搬入後、体温が37℃台だったので、コロナとインフルエンザの迅速検査を行ったが陰性だった。(発熱のある患者全員にすることになっている)

 「周囲の人に(悪意をもって)見られている」という。「兄弟とゲームをして心臓が血だらけになる」とも言っていて、主訴動悸というのはそのことらしい。妄想の内容だった。

 血液検査と心電図、それに症状がつかめないので胸腹部CTを行ったが異常はなかった。頻繁に10~20秒くらい急に笑うことを繰り返した(空笑)。

 

 隣県の精神科病院に統合失調症で通院していたが、服薬はしたくないと思っていて、実際に中断していた。体調不良(というか生活ができない)で当地の実家に戻って来ていた。

 父親が、通院している病院に1~2度処方を取りに行ったが、それ以上は本人が受診しないと出せないといわれた。当地の精神科病院にも行ったが、やはり本人が受診しないと処方できないといわれた。

 処方はアリピプラゾール(エビリファイ)12mg錠1錠と単純なものだった。当院にはアリピプラゾール3mgの内用液が入っていた。

 前の前の薬局長が、リスペリゾンより副作用が少ない?というのを何かの講演会で聞いて入れていた。通常はリスペリゾンが処方されるので、ほとんど処方されていなかった。

 当直看護師に薬局から持ってきてもらい、3mg内用液を4包飲ませた。せっかく当院に来たのだから、当院の薬は飲んでほしいと伝えると、拒絶はしなかった。

 父親に身体的には異常がないこと、妄想があり、このまま治療中断が続くと精神科病院入院になることを伝えた。アリピプラゾール2日分を持たせて、週明けには精神科病院に連れて行ってもらうことにした。本人にも、このまま治療を中断すると、したくない入院になってしまい、拘束されてしまうことを伝えた。

 受診や服薬を拒否して、そのまま中断が続く可能性もあるが、そうなると精神科病院のような拘束は一般病院ではとてもできない。認知症のBPSDでの身体拘束は、体力の低下している高齢者だからできるので、40歳代男性には到底無理だ。

 

 父親が気の毒になってくるが、この父親も妻に対する家庭内暴力で、しばしば自宅に警察のパトカーが行っていたはずだ。

 

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