先々週肺炎で退院した86歳男性は、今回在宅酸素療法(HOT)を導入した。
通院しているクリニックから肺炎で紹介された。肺炎は抗菌薬投与で軽快治癒したが、動くと酸素飽和度が90%未満になり、息切れがあった。
肺炎の浸潤影がゆっくり軽快していくと、ある程度酸素飽和度が上がってくるかと期待したが、一定のところで止まってしまった。
もともと自宅で肺炎がない時でも息切れがひどい時があり、息子さんがスポーツ用の酸素吸入器を何本も購入して使っていた。すぐになくなるといっていたが、それはそうだろう。在宅酸素になるのではと思っていたそうだ。
安静時と睡眠時に酸素1L/分、労作時に2L/分として、リハビリの時にメーカー(帝人)で持ってきた携帯用酸素吸入を使用した。使用に慣れたところで退院となった。
胸部CTでは、胸膜下の間質性肺炎像があり、牽引性気管支拡張を呈している。また、この患者さんは60歳代まで喫煙歴があり、胸部CTで気腫性変化も認めた。
肺気腫と肺線維症が併存する病態は、combined pulmonary fibrosis and emphysema(CPFE)で、日本語だと気腫合併肺線維症になる。
気腫性病変は進行しないのかもしれないが、肺線維症はいつでも急性増悪がある。HOT導入の慢性呼吸不全の患者さんの急性増悪は、大抵細菌性肺炎併発で、それでも治療は厳しくなる。
いずれにしても、急性増悪時は当院では対応できないかもしれない。
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