9月11日に記載した、COVID-19の81歳男性のその後。
9月4日入院後にレムデシビル点滴静注を開始して5日間投与した。その後、発症11日目からデキサメサゾンも使用した。食欲不振・倦怠感はデキサメサゾンで改善した。
肝機能は入院時に正常だったが、レムデシビル3日投与後は、AST 55・ALT 32・LDH 211・ALP 57・γ-GTP 21と軽度に上昇していた。9月9日までレムデシビルを5日投与したが、9月11日にAST 430・ALT 564・LDH 264・ALP 88・γ-GTP 62とかなり上昇してしまった。
ウイルス性肺炎と判断したので、抗菌薬は投与していなかった。レムデシビルの副作用と判断される。患者さんはステロイドの効果で調子が良くなって、早く退院したいといっていた。肝機能障害の軽減を確認して退院を決めることにした。
9月14日の再検で、AST 47・ALT 199・LDH 163・ALP 67・γ-GTP 66と改善してきた。このまま軽快して正常化すると見込まれた。すぐにでも退院したいといっていたが、結局息子さんの迎えの都合で9月16日(土曜)に退院となった。
「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き」の「成人の外来診療における抗ウイルス薬の選択」には、レムデシビルは「発症から7日以内」とある。入院診療の記載はない。
この患者さんは入院日は発症8日目相当だが、レムデシビルを投与した。いつも相談している呼吸器外来の先生(大学病院感染症科から応援)に訊いたところ、レムデシビル投与は問題ないといわれた。
9月14日に記載した88歳男性も相談したが、発症10日目だったが(診断日なので発症はもっと前か)、レムデシビルを入れた方がいいといわれた。
入院時から開始したデキサメサゾンも継続する。「レムデカ(レムデシビル+デカドロン=デキサメサゾン)」でいきましょう、いわれた。通称としてそういっているらしい。
ウイルス増殖期をいつまでとするかだが、通常だと10日間で、重症化すると14日までととることになる。すると、中等症Ⅱから重症の場合は、14日以前なら投与していいのだろう。
大学病院で数100例でレムデシビルを使用して、肝機能障害・腎機能障害が問題になったのは、3例しかなかった、ともいわた。注意書きにある肝機能障害・腎機能障害はそれほど気にしなくていいという。
今回、当院では初めてレムデシビルで有意な肝機能障害を認めた。これまでの使用例は正確にとっていないが、100例まではいっていないか。
中止で改善してきて、まずは良かった。相談している先生は大学講師なので、大学病院で直接COVID-19 を診療している中の指導的立場の先生だ。
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