別の内科の先生が診ていた84歳男性が大学病院に転院した(介護タクシー使用)。先月の終わりに内科医院から、食欲不振が続いて発熱もあるということで紹介になっていた。
胸部X線・CTで肺気腫を認めるが、明らかな肺炎像はなかった。尿路感染症?として抗菌薬を開始したと記載されている(尿混濁はない)。
入院後も食事摂取は進まず、嚥下障害というよりは詰まる感じがあった。上部内視鏡検査が行われて、食道の著明な拡張と食物残渣(ほとんど白苔化)の食道壁への付着が目立った。食道末端は閉じていて、内視鏡の通貨はできる。たまたま内視鏡担当が、大学病院外科食道班の若い先生で(バイト)、食道アカラシアと診断された。月に1回来ている食道班の上の先生が大学病院で治療することを決めていった。
入院時の胸腹部CTを見ると、食道が頸部食道まで拡張して、食物の貯留を認める。わかってからこれまでの画像を見返した。食道を見るためのCT検査ではなかったが、2009年のCTでも食道は軽度に拡張していた。そして2012年のCTでは今回と同様の食道所見がすでにあった。放射線科の読影レポートにも食道アカラシア疑いとあった(今回のレポートは前回と同じとだけあった)。
食道アカラシアというと若い人に多いイメージがあったが、テキストには小児から高齢者まで幅広い年齢層にみられ特に好発年齢はない、と記載されていた。治療は、バルーン拡張術か経口内視鏡的筋層切開術(per-oral endoscopic myotomy:POEMポエム)が行われるが、大学病院では後者を行うのだろう。
図らずも食道アカラシアの自然経過をみたことになる。10年くらいの経過で進行して、画像的には完成していても機能がある程度残っていると、しばらくはそれほど問題なく過ごしていた。
頸部食道まで食物が貯留しているので、発熱はやはり気道感染だと思うが。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます