なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

DUPAN-2

2020年05月25日 | Weblog

 内科再来を診ていると、内科新患を担当していた先生(大学病院からバイト)から91歳女性の入院をお願いしたいと連絡がきた。

 先週が初診だった。3週間前から食欲不振が続き、腹痛もあった。通院している町の病院を受診したが、特にどうするということもなかったらしい。紹介ではなく、直接当院に家族が連れてきていた。

 胸腹部単純CTで肝臓内に多発性の腫瘤があり、消化器癌の転移が疑われた。院内で測定したCEAが98.6(<5.0ng/ml)高値で、外注の腫瘍マーカーも含めて7種類を検査に出していた(腫瘍内科の医局から来ている)。

 NSAIDを1週間分処方して経過をみることにしていたが、症状は変わらず、今日は連れてきた家族がはっきりと入院を希望した(先週も入院希望だった)。(ロキソプロフェンのためか貧血が進行していた)

 

 患者さんは外来の処置室に横臥していて、普通に話はできる。夫はすでに死去して、お子さんはいないので、姪(弟の娘)が世話をしているそうだ。今日は弟と姪の娘が来ていた。ふたりを呼んで相談した。

 外注の腫瘍マーカーではDUPAN-2が著明に上昇して振り切れていた(≧1600U/ml)。膵癌・胆嚢癌のマーカーなので、そのまま信じれば膵癌か。CTでも膵臓の腫瘍が疑われるが、画像では確定しがたい。造影CTが必要になるが、家族はこれ以上の検査は希望しなかった。

 70歳くらいであれば、地域の基幹病院かがんセンターの紹介するが、家族も希望していないし、受診してもそちらで緩和ケアをということになる。

 とにかく当院入院で経過をみることにした。外来の診察室でDNARの書類を作成して、予後1~3か月だが1か月寄りであること、急変の可能性もあることを伝えた。点滴500ml2本でキープして、疼痛時はアセリオ(アセトアミノフェン)点滴静注を行う。アセリオの効果をみて、必要があれば塩酸モルヒネ持続点滴も考慮することにした。

 

 DUPAN-2が出始めのころに、膵癌でCA19-9 との比較をしたことがある。予想通り、CA19-9 のみ高値・DUPAN-2のみ高値・両者高値に3通りに分かれて、DUPAN-2の有用性(補完できる)が示された。懐かしい。

 

 

 

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