10月16日別の内科の先生から、前日に尿路感染症からDICを来した80歳代の男性が亡くなった、といわれた。別の胆道感染症の患者さんのこともいわれた。
こちらから訊いたのではなく、当方を見かけたので愚痴をこぼしたという感じだった。両者とも地域の基幹病院から療養転院(実際は治療継続)で来た患者さんだった。
内科に転院してくるのは、入院となった原疾患が軽快してもそのまま退院できない80歳以上の高齢の患者さんたちだ。廃用が進んでリハビリにのらないことも多く、経過をみているうちに別の感染症が発症したり、脳血管障害や心不全が出現したりする。(当院で手に負えない患者さんの急性期を診てもらっているので、その辺は仕方がない)
亡くなった患者さんは肺化膿症で先方の病院に入院して、抗菌薬投与は6週間にわたっていた。8月下旬に、廃用症候群のリハビリ目的で転院した。
9月下旬から発熱があり、肺炎の悪化ではなかった。尿混濁を認めて、尿路感染症として治療を開始していた。発熱が続き、次第にDICを満たす検査値を呈して、バイタルの不安定になっていった。
後で確認すると、尿培養からはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出されている。バンコマイシンで治療を開始して、血中トラフ値も適切だったが軽快しなかった。
尿培養でのブドウ球菌は二次的な細菌尿で、尿路感染症そのものではなく、黄色ブドウ球菌菌血症となった結果、尿からも検出された可能性がある。(感染症ではなく単なる定着菌のことも多いが)
肺炎や肝胆道系感染は否定的で、感染性心内膜炎(明らかな心不全症状はなかった)、化膿性脊椎炎などの骨関節感染、感染性塞栓などが考えられる。経過をみると、どこかにMRSA の膿瘍があったかもしれないが、外科的に手が出せなければ治療・結果は同じだったとは思う。
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