火曜日に大学病院から非代償性肝硬変・肝細胞癌・肝不全/肝性脳症の65歳女性が転院してきた。肝疾患は原発性胆汁性胆管炎で、無症候性が多いので病名は変ったが、この方は本当の原発性胆汁性肝硬変だった。
20年以上前から治療していて、ウルソ以外にベザフィブラート、ステロイド、さらには免疫抑制剤も使用されたが、効果はなかった。何度も発生してくる肝細胞癌に対しても、内科的治療が繰り返して行われていた。
生体肝移植の予定が立てられていた。ドナーの息子さんの移植に使う肝臓が小さいという問題、病状が悪化して移植のための免疫抑制剤に耐えられないという問題もあったが、最終的には患者さん本人が移植はしないと決断したそうだ。
当地域に居住しているので、終末期を付き添いのしやすい当院で過ごしたいと家族が希望された。連絡が来た時点で血清ビリルビンが20mg/dl。大学病院では、予後1カ月で急変もありうると言われての転院だった。転院した時点でとても1か月もつとは見えず、そのまま大学病院にいたほうがよかったのではと思われた。
転院の時点で血清ビリルビン26mg/dlで全身浮腫があった。転院した日に昼食を少しだけ食べたが、夕食からは食事が取れなかった。全身浮腫で末梢からの点滴は不可能なので、翌日CVカテーテルを挿入した。腹痛・苦悶の表情があり、オピオイドを極く少量使用して、苦しそうな表情は柔らかくなった。結局土曜日に亡くなられたので、当院の入院は5日間と短かかった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます