なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

アルコール性肝硬変、顔面打撲・橈骨遠位端骨折

2018年06月20日 | Weblog

  昨日は内科当番だった。午後8時ごろに当直の外科医(大学病院からのバイト)から連絡があった。3月に誤嚥性肺炎で入院した101歳男性がまた誤嚥性肺炎で搬入されたという。酸素飽和度は問題なかった。点滴と抗菌薬の入力をお願いして、病棟に上がったころに電話して指示を出した。

 今日も息子さんが病棟に来て、前回同様に「もう病院にお任せしますから」ということだった。今回も軽快して退院できるだろうか。

 

 今朝午前7時に同じ先生から連絡が来た。当院消化器科に通院しているアルコール性肝硬変の70歳男性が、転倒して顔面打撲で救急搬入されたという。自転車でコンビニに買い物に行っての出来事だった。貧血もあり、ひとり暮らしなので入院が好ましいという。緊急性はなさそうなので、そのまま点滴を継続してもらって、病院に行ってから決めることにした。

 顔面(前額部~眼窩周囲)に皮下出血(血腫)ができている。元々貧血(Hb11)と血小板減少(3~7万)があるが、今日はHb7.8、血小板数0.6万になっていた。バイタルは問題ない。

 9年前に内視鏡的食道静脈瘤結紮術(EVL)で、6年前に大量腹水で消化器科に入院していた。前々回までの外来検査で癌目-GTPが上昇しているが、今日は正常域だった。最近は飲んでいないらしい。10年来診ている消化器科医に相談して、消化器科で入院になった。外来で経過をみているうちに手関節部が腫脹してきて、橈骨遠位端骨折もあった(整形外科で診て固定のみ)。

 CTで見ると、肝臓は凹凸不整が目立ち、確かに肝硬変だった。腹水はわずかだ。さっそく輸血がオーダーされた。

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久しぶりの慢性膵炎増悪

2018年06月19日 | Weblog

 昨日は内科の先生が当直だった。消化器科に慢性膵炎で通院している35歳男性が、急性増悪(急性膵炎)で入院していた。これまで10回くらい入院していて、ほとんどは消化器科医が担当したが、時間外で受診して当方が主治医になったこともある。

 25歳の時に初めて急性膵炎で入院している。アルコール性ではなく、何か特別な膵炎が疑われて大学病院の消化器内科に紹介されたこともある。遺伝子検査もされたが(患者さんの話)、消化器科医の記載では結局返事は来ないままでうやむやになったらしい。

 消化器科医が自分が以前にいた専門病院に紹介して、内視鏡的な膵石摘出の治療をしてもらった。その後は急性膵炎をきたさずに過ごしていた。今回悪化した原因もわからない。多少脂肪分の多い食事をとったかもしれないというくらいだ。以前担当した時、良くなって退院した日に自宅でご飯とみそ汁を食べて、その夜悪化して再入院になったことがある。

 病室に診に行くと、昨夜よりは心窩部痛が軽減していた。1週間くらいで退院できるといいが。腹部CTでは膵頭体部に膵腫脹と周囲脂肪織の炎症像がある。膵鉤部の石灰化(膵石)は実質か膵管分枝内かわからないが、これは内視鏡的にとれない。外分泌が枯渇するのを待つしかないのかもしれない。

 当院にはもうひとり小児の時から膵炎を繰り返していた現在32歳男性がいて、当方の外来に通院している。膵炎での入院は最近ないが、膵全体に石灰化があり、糖尿病の治療をしている(今のところ経口血糖降下薬のみ)。この二人の患者さんが同じ病室に入院したこともあった。

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行ったり来たり~脳梗塞・心不全

2018年06月18日 | Weblog

 地域の基幹病院から転院依頼が来ていた。通常はそのまま受けるところだが、ちょっと訳ありだった。家族に一度来てもらって、今後の治療について相談してから決めることにした。

 患者さんは89歳女性で、5月に脳梗塞で倒れているところを発見されて(一人暮らしだった)、一番近い地域の基幹病院に救急搬入された。心房細動があり、心源性脳塞栓症と診断された。急性期の治療をした後にリハビリを開始したが、ベット事情が厳しい病院なので、6月6日に当院の回復期リハビリ病棟に転院した。

 神経内科医から回復期リハビリ病棟を担当している当院の神経内科医(ひとりだけ)に紹介された。診療情報提供書はごく簡単な記載で、腎機能障害(血清クレアチニン1.5程度)があるので、抗凝固療法はワーファリンにしてあることくらいの記載だった。処方は、ワーファリン・βブロッカー1剤・PPIとシンプルだった。

 転院2日前のCTも送られたCDに入っていたが、両側胸水が貯留していた。当院に来てからリハビリを開始したが、息切れしてリハビリは不可能だった。(胸部CTは前医、胸部X線は当院) 

 

 神経内科医が、こんな病状で転院させてと怒ったらしい。前の主治医に電話したところ、循環器内科と相談して返事をしますといったん電話を切った。そこでさらに向こうの神経内科のトップの先生に電話して、とにかく転送とした。転送後は循環器内科に入院になっていた。

 今回は循環器内科からの転院依頼だった。できる範囲で治療はしたが、ある程度軽減したところで効果は頭打ちになった。ダイアート60mgを使用しているが、悪化時はラシックス20mg静注で対応するよう記載されて、急変時はDNRの方針とある。

 家族に来てもらって、あまりリハビリの対象にはならないこと、急変してももう転院にはしないこと、長期入院になりそうな時は療養型病床への転院もありうること、などをを説明してから当院で受けることにした。

 いつもお願いしている療養型病床のある病院では、診療情報提供書を基に直接家族と面会して、病状悪化時や病状安定時の今後の方針などを相談してから入院を決めている。

 

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内科学会地方会生涯教育講演会2018年6月

2018年06月17日 | Weblog

 昨日は内科学会地方会の生涯教育講演会に行ってきた。いつも午前中の地方会自体には行かないで、午後の講演会だけ聴くようにしている。5単位もらうのが目的で内容にはさほど期待していないが、今回はファンである新潟大学呼吸器感染症内科の菊池利明先生の講演が入っていた。一般医向けの講演は的を絞った明快な話をされる。今回はクリニックの先生方に向けた肺炎の経口抗菌薬治療の話だった。

 細菌性肺炎にはアモキシシリン・クラブラン酸(オーグメンチン)が推奨されている。ただしアモキシシリン・クラブラン酸は、肺炎球菌には100%感受性があるが、インフルエンザ桿菌には30%くらいしか感受性がないので注意してくださいという。ちなみにアジスロマイシンは肺炎球菌にはほとんど効かないが、インフルエンザ桿菌にはかなり(60%)感受性がある。

 非定型肺炎(マイコプラズマ)にはマクロライド系(クラリスロマイシン、アジスロマイシン)が推奨されている。(マクロライド耐性マイコプラズマの話はされなかった)(レスピラトリー)キノロンは非定型肺炎に効くが、効果はマクロライドよりも少し遅くなる。テトラサイクリンはマクロライドよりも効果発現が速い。

 キノロンは慢性呼吸器疾患のある場合の肺炎で推奨されている。ただしキノロン使用時は抗酸菌(結核)感染を除外する必要がある。市中肺炎でキノロンを使用する時は、できれば喀痰の抗酸菌検査を行って下さいという。

 結核菌に対して、トスフロキサシンは100%感受性がないが、それ以外のレボフロキサシン(クラビット)・モキシフロキサシン(アベロックス)・ガレノキサシン(ジェニナック)・シタフロキサシン(グレースビット)は感受性がある(ガレノはやや低い)。結核にキノロンが(単剤で)使用されると13日くらいでキノロン耐性が生じてしまう。

 キノロンは結核のファーストラインとしては使用されないが、抗結核薬として(多剤併用で)使用される可能性があり、耐性が生じると治療に支障をきたす。なにより肺炎の治療にキノロンが使用されると(効いてしまうため)、結核の診断がかなり遅れてしまう。

 今月末にある抗酸菌の講演会で、菊池先生が非結核性抗酸菌(NTM)の話をされる予定だ。

 

 札幌医科大学の小船雅義先生が難治性貧血の講演をされて興味深かった。座長の張替先生(東北大学血液免疫科)の前で貧血の話をするのは気が引けるので症例を中心に話をします、と言われた。症例から考えるのは具体的にイメージが掴めてよかった。進行性の鉄欠乏性貧血で鉄剤投与に反応しない時は、胃前庭部毛細血管拡張症(GAVE)などの胃・小腸・大腸の毛細血管拡張症を考えるようにいう。

 鉄欠乏にビタミンB12欠乏・葉酸欠乏が合併していたり、またはビタミンB12欠乏・葉酸欠乏が(典型的な大球性でなく)単独にあったりする。血中葉酸値は体内の葉酸量と一致しているが、血中ビタミンB12値は体内のビタミンB12量とそれほど一致しないそうだ。従ってビタミンB12を投与してみて、貧血が改善するかどうかみないと分からないこともある。尿中メチルマロン酸はビタミンB12欠乏で上昇するので参考になる。

 再生不良性貧血は汎血球減少ではなく、2系統以上の血球減少があれば診断される。血小板減少が先行する貧血は再生不良性貧血の可能性がある。また骨髄異形成症候群が(高齢化で?)増加しているそうだ。

 5講演のうち2つ収獲があれば充分だと思って帰ってきた。

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肺炎の陰影だが

2018年06月16日 | Weblog

 金曜日の昼に内科の若い先生が、循環器科医に医局のコンピュータで画像を見せて相談していた。当方は歯磨きをしていたが、何かと思って後ろから覗いてみた。

 内科外来を1か月前から胸が苦しいという訴えで受診した78歳女性だった。心電図はまったく異常がない。胸部陰影があるが、それでは症状が説明できないので、循環器科医に相談していたのだった。その後、心エコーも行われて異常なしだった。有症状時の検査なので、異常なしと判断してよいことになる。

 胸部X線・CTを見せてもらうと、主には右上葉に陰影があった。昨年先生が診た患者さんですと言われたが、すぐには思い出せなかった(記憶力が低下している)。

 昨年貧血と下肢の浮腫でかかりつけ医から紹介されて受診した。検査の結果は胃切除術後の鉄欠乏性貧血だった。Hb5.1g/dlと重度で鉄剤投与で間に合わないので、入院して4単位の赤血球輸血を行った。その後は鉄剤投与とした。ビタミンB12欠乏も伴っていたので、ビタミンB12製剤を注射で開始して、その後は内服とした。ある程度改善したところで、両剤の投与をかかりつけ医にお願いした。

 1~2週間前から咳・痰が出る、食欲が低下したというが、こちらは確かなのだろう。何となく胸が苦しいというのはよくわからないが、心気症的な訴え方をする患者さんではある。

 胸部X線・CTをどう読むかになる。白血球数は正常域だが、ふだんは正常下限なので増加している。CRPは1.1mg/dlとごく軽度だった。現在は貧血がなく正常域。発熱はない。通常の肺炎にしては、ちょっと経過が長いかもしれない。結節影と淡いすりガラス様の斑状影が集簇している。左肺にも右肺より少ないが淡い陰影がある。これは見返すと昨年のCTでもわずかにあった。

 若い先生は肺癌を気にしていた。確かに結節影はちょっと気になるが、一元的には感染症だろう。抗酸菌感染(結核よりはNTMか)が気になるので、抗酸菌の検査も出してもらうことにした。抗酸菌塗抹は陰性だったが、抗酸菌のPCRと培養も提出した。肺癌の腫瘍マーカーも出した。とりあえずセフトリアキソンで治療を開始して経過をみる。

 

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縦隔リンパ節腫脹

2018年06月15日 | Weblog

 昨日は内科当番だった。当直医が循環器科の先生で、肺炎の入院は診てくれるし(たぶん)、内科入院でも翌日までの指示は出してくれるので、まああまり呼ばれないでだろうと思っていた(実際、連絡はなかった)。

 朝病院に来て、当直帯での受診者を確認した。入院は術後の癒着性腸閉塞を繰り返している高齢女性だけで、内科系の入院はなかった。気になったのは発熱で受診した64歳男性だった。

 前日から高熱があり、救急外来を受診していた。現在がんセンターに肺癌で通院していて、手術不能と言われているとあった。患者さんの希望はとにかく熱を下げてほしいということだった。当直医はカロナールを処方して、翌日がんセンターを受診するようにと指示していた。特に画像検査や血液検査は施行していない。発熱以外のバイタルは問題なかった。

 この患者さんは、今年1月に内科クリニックから胸部造影CT依頼で当院放射線科に紹介されていた。読影レポートは「多発性縦隔リンパ節腫脹・悪性リンパ腫疑い」だった。クリニックからがんセンター呼吸器内科に紹介されたのだろう(当院に呼吸器内科医はいない)。

 画像を確認してみたが、縦隔リンパ節腫脹だけで、肺野に腫瘤は指摘できない。細胞診などで肺癌と診断されたとすれば、原発巣は気管右前の腫瘤でこれが肺癌なのか。中等量の心嚢液貯留も気になる。すでに5か月経過している。抗癌剤治療を受けているはずだが、現在の画像はどうなっているのだろうか。

 

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インド人

2018年06月14日 | Weblog

 朝病院に来ると、昨日の当直だった内科の若い先生に相談された。午前1時過ぎに23歳男性が前日からの高熱と嘔吐で受診したという。患者さんはインド人だった。

 隣の市にある工場に技術研修のために一昨日来たばかりだった。その工場自体が大手自動車会社の下請け会社だが、さらにインドに工場を建設しているそうだ。部品の輸送費がかかっても、現地の工場生産の方が人件費の関係で経済的なのだろう。

 腹痛や下痢はない。最初は腹部症状に乏しくても、腸チフスも考えるべきかと思った。熱の原因はわかりませんと言われたが、胸部X線で左胸水があるので、普通に考えれば胸膜炎の発熱になる。

 胸部CTを見ると、上葉まで胸膜肥厚があり、その点では慢性の経過が疑われた。ちょうど大学病院から呼吸器外来に来てもらっている先生(感染症科所属)が来たので、経緯をお話して画像を見てもらった。まず結核性胸膜炎でしょうという。胸水だけではなかなか結核と診断できないので胸膜生検が必要になるかもしれないとも言われた。外来が終わったら、今日は胸腔穿刺まで行って、来週大学病院で胸膜生検をするかというところまで、話がまとまった。

 言葉は何語なのかわからないが、英語もある程度わかるらしい。実際は、いっしょに来ていた日本語のわかるインド人が間に入っての問診・診察になった。そのうちに工場の方(日本人)が書類を持ってきた。インドのドクターが記載しているが、診断書というよりカルテ記録の一部と処方のみだった。結核性胸水貯留(tuberculous pleural effusion)とあるから、結核性胸膜炎だ。肺外結核で非感染性と記載があり、抗結核薬4剤が処方されていた。

 解熱薬や点滴で少し体調が良くなった患者さん本人に訊くと(通訳を介して)、病院で胸水があり結核といわれていた。抗結核薬を処方されて今月から内服を開始していた。

 外来が終わった感染症科の先生に、結核の治療をしていたことをお話して、病室にも来てもらった。おそらく発熱・嘔気嘔吐は抗結核薬の副作用だろうということだった。当面は点滴や解熱薬で経過をみていいそうだ。内服して間がないので、数日休むのは問題ない(まだ耐性菌になる可能性がない)、それから副作用を考慮して種類や量を調整して、短期間に規定の種類・量にもっていくことにしましょう、となった。

 しかし患者さんは帰国して自国で治療を受けたいと希望された。会社側でもそうしたいという。今度は航空機に搭乗していいかということになった。保健所に連絡すると、喀痰塗抹が陰性で、抗結核薬を2週間内服していれば、マスク(サージカルで可)をさせて搭乗可能とされている、と返事が来た。塗抹は陰性だった。

 インドでは結核発病者は284万人で世界最多だ。多剤耐性結核菌もあり、可能であれば感受性試験を要する。検査した病院ではどの程度の検査しているか不明だ。画像だけでエンピリックに治療を開始した可能性もある。治療を開始したばかりの状態で、日本に行くことを許可したらしいが、大丈夫なのか(common disease扱い?)。

 

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胆石の自然排出?

2018年06月13日 | Weblog

 昨日の当直医は大学病院からバイトに来ている外科医(女性)だった。準夜帯は1名のみの受診だが、深夜帯で1時半・2時半・5時半に受診しているので、眠れない当直になっていた。

 2時半に受診したのは34歳男性で、午前1時から右下腹部痛で受診とある。受診後に検査をしているうちに症状は治まっていた。腹部CTで胆嚢内に小結石があり、十二指腸乳頭部付近にも小結石があった、胆嚢結石(総胆管?)がいったん総胆管の乳頭部に陥頓して、自然排石したのだろうと診断していた。

 腹痛が消失すれば、終了となる。血液検査で肝機能障害があったが、脂肪肝の所見のようだ。既往歴の方が問題で、7年前に地域の基幹病院で潰瘍性大腸炎が疑われているが、検査も受けずに中断していた。その後も軟便(血便)が続いていた。日中に消化器内科を受診するようにと言われて帰宅しているが、受診しないか。

 

 昨日は市医師会の講演会があり、久しぶりに座長をした。糖尿病の講演で、5年前にも同じ先生の講演で座長をしていた。内科医院の年配の先生が、糖尿病性腎症予防の治療に興味があって、と質問してくれた。昔当院で血液透析を担当されていた先生で、熱心なものだと感心した。最近は「糖尿病性腎臓病」となっているようだ。中外医学社から本が出ているので購入してみよう。

 

 

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MDSからAML

2018年06月12日 | Weblog

 地域の基幹病院の血液内科(非常勤医)から急性骨髄性白血病の81歳男性が紹介されてきた。経過は長かった。

 7年前に前進い皮疹が出現して皮膚科を受診した。血液検査で異型血球の出現があり、6年前に大学病院の血液免疫科に紹介された。骨髄検査でMDS-RAEB2と診断された。診断後は、基幹病院の血液内科外来に通院していた。一時は大学病院の治験に参加したり、白血球数増加時に6-MPが投与されたこともあるが、基本的には必要時の輸血で経過をみていた。

 その後、芽球数が増加して急性骨髄性白血病相当となった。急変するかと思われたが、予想よりはもっていたという。原疾患に末期腎不全もあり、さらには年齢の問題もあり、ADLが低下してきていた。電話では、外来通院で時々輸血をして、いよいよ悪化した時は入院でという話だった。

 今日患者さんが外来受診に来てみると、大分弱っていた。そもそも高齢者の一人暮らしだった。妻はすでに亡くなって、子供はいなかった。責任者としては隣町の妹と隣りの市の甥になるが、添えぞれあまり行き来はしていない。連絡して妹さんに来てもらったが、会うのは1年ぶりだという。まず到底ひとりでは生活していけないので、そのまま入院となった。

 白血球数46000で芽球が27.0%だった。Hbは9.3g/dlとすぐの輸血は不要で、血小板数も33.5万あった。慢性腎不全はBUNが113.0、血清クレアチニンが6.13でなかなかのものだ。

 まずは施設入所的な対応になるが、どこかの時点で一気に悪化するのだろう。対症療法は行うが、病状悪化時はDNR同意となった。

 紹介した先生は大学血液免疫科から出張していて、先日大学病院に入院していた悪性リンパ腫の女性を紹介された先生だった。診療情報提供書にある「この度も格別のご高配を頂きまして」の「この度も」はそういう事情からの記載だ。この施設入所的な入院ができるのは当院のいいところだ。

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胸水の方が問題

2018年06月11日 | Weblog

 地域の基幹病院神経内科から施設待ちの患者さんが転院してきた。昨年11月に転倒して外傷性くも膜下出血・左側頭葉脳挫傷をきたしたが、保存的治療で軽快した。

 今年に入ってからしだいに認知症の症状が進行して、二次性水頭症が疑われて神経内科に入院した。(当方がCTを見ると水頭症には見えないが、確か画像ではわからない水頭症の型があった気がする)。検査の結果、ドレナージ手術の適応はなしと判断されて、経過観察のみ(認知症の処方はない)となった。

 家庭の事情で開業医の息子さんと二人暮らしで、在宅介護はできないので施設入所の方針となった。息子さんの自宅は別の町にあり、奥さん(嫁)はそこから通ってクリニックで勤務しているそうだ。義母との同居はしたくないということだろうか(詳しい事情は訊いていない)。

 認知症で病棟の廊下にふらふらと歩いてくるが、それほど困るわけではない。すでに施設には入所を申し込んでいるので、それまで1~2か月預るだけになる。ただこの患者さんは別の問題があった。

 神経内科入院時の胸部X線で、左胸水が貯留していた。バイタルは問題ないが、健側を圧迫するくらいだった。基幹病院の呼吸器内科にコンサルトされて、胸水穿刺が行われている。癌も結核も証明できず、胸腔ドレナージの適応もなしとされて経過観察となった。心房細動・心不全もあって利尿薬も投与されているが(フロセミドとスピロノラクトン)、サムスカ追加でも胸水は変わらず、心不全によるものでもないと判断されていた。

 このまま無事に施設入所になればそれでいいのかもしれないが、入所待ちの間に増悪する可能性がある。発熱はなく、炎症反応はほとんど陰性で、普通に考えれば癌性胸膜炎が疑われる。

 クリニックが平日午後に休みの曜日があるので、息子さんである先生に来てもらって相談することにした。どのくらい説明されているのか、さらに胸水の検索をしていいのか、悪化した時はどうするのか。

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