昨日は他院から2人の患者さんが転院してきた。
ひとりは大学病院からで、悪性リンパ腫の62歳女性。昨年1月に黄疸と息切れがあり、胸部X線で胸水貯留を認めて、受診した近医から地域の基幹病院呼吸器内科に紹介された。
胸水検査では悪性所見はなく、原因不明だった。溶血所見があり、血液内科外来(大学病院から出張)に回された。外来でプレドニン投与が開始されたが改善がなく、大学病院の血液内科に入院した。
全身CT検査で胸水貯留と卵巣腫瘍を認めて、溶血性貧血と居水貯留は卵巣腫瘍によるものと判断された。婦人科で卵巣摘出術を受けたが、病理の結果は悪性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma)だった。胸水穿刺も再検されて、陽性(悪性リンパ腫)と診断された。
血液内科でR-CHOP療法を受けて、一時的に完全奏功(CR)?となったが、2か月後には再発したそうだ。その後は4種類の癌化学療法が行われたが、効果は限定的で、治療継続は困難と判断された。緩和ケアの方針となって、オピオイドが開始された
転院時はオキシコンチン40mg/日+オキノーム5mgレスキュー使用だったが、疼痛は治まっておらず、明日から定期量を1.5倍にして、レスキューも倍にした。大学病院で何度か胸水穿刺が行われていて、紹介状には今後も必要時はお願いしますとあるが、何とかしないですませたい。酸素吸入もしているが、見守り・軽介助でトイレ歩行はできる。
大学病院の予後見込みは2~3か月とあったが、急変もありうる。昨日転院してきた時に夫と相談したが、もし一時的な自宅退院を希望するならば今しかないとお話した(いつ再入院しても、という退院だが)。1か月くらい様子を見てからと思っていると動けない病状になる。病状悪化時の最終的な対応についてはDNRとなった。
先月末に膵頭部癌・閉塞性黄疸で救急搬入された92歳男性は、内視鏡的胆道ドレナージ目的で消化器病センターのある専門病院に搬送していた。その後担当の先生から連絡が来て、内視鏡の十二指腸への挿入自体時間がかかり、胆道ドレナージはできなかったそうだ。他のドレナージ方法について家族と相談したが、リスクもある処置は希望されず、緩和ケアのみの方針となったという。
昨日当院に転院してきた。前日に一過性の意識障害をきたし、幸いに回復したが、脳血管障害(TIA)かトルソー症候群が疑われたそうだ。民間救急車の予定が、病院車でドクター同乗での転院だった。朝に前日のエピソードの報告があり、転院可能かどうか改めて訊かれたが、もちろん依存はない。重症の救急患者さんを引き受けてもらうためには、残念ながら専門的治療の対象にならない患者さんを引き取る必要がある。
搬送時よりも黄疸は一層進んで、どのくらいもつかわからないが、日にちの単位と予想された。家族と相談して、DNRの方針となった。