なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

無気肺その後

2024年05月11日 | 呼吸器疾患

 4月28日に記載した無気肺の 歳女性のその後。

 3月から入所中の施設で酸素飽和度の低下があった。その都度声掛けで深呼吸をさせて、上昇した飽和度の値を記録していた。(すぐに戻るはずだが)酸素吸入が必要になると施設には居られません、と変な説明がされていた。

 4月12日(金)の夜間にどうやっても酸素飽和度が上がらず、当院に救急搬入された。酸素吸入を最大5L/分を要した。当直の先生(外部の病院からのバイト)が入院させていた。

 胸部CTで左肺に浸潤影様の陰影があったが、炎症反応がまったく陰性だった。当直医は無気肺と判断したらしい。

 翌13日(土)に病院に診に行った。喘鳴が聴取されて、喘息発作だが、施設では指摘されていなかったらしい。ステロイドの点滴を2日行って、テオフィリンとモンテルカスト内服を開始した(ツロブテロールテープも喘鳴調質まで使用)

 入院後は肺炎として抗菌薬を投与していたが、その後も炎症反応はほぼ陰性で、1週間で中止した。喘鳴は4日目には聴取されなくなった。その後発作性心房細動もあったが軽快した。

 4月24日の胸部CTでは左肺の陰影が軽快して、右肺下葉背側に浸潤影様の陰影が出現した。

 炎症反応は陰性で、去痰薬の追加くらいであとは排痰促すようにして経過をみていた。4月8日に胸部CTを再検すると、右肺の陰影も軽快していた。

 酸素吸入は外してしまう。酸素飽和度が酸素無しでも90~92%なのでそのまま経過をみている。気管支喘息による粘稠痰が無気肺を来した可能性はある。できれば吸入ステロイド(ICS)を使用したいが、うまくできる気がしない。

 

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外傷性(血)気胸

2024年05月10日 | 呼吸器疾患

 5月7日(火)に内科外来を診ていた先生が、気胸が来たよ、という話をしていた。

 74歳男性が前日に自転車に乗っていて、転倒してガードレールに左側胸部を打撲した。その後、左胸痛~背部痛が続いて、息苦しさもあり、タクシーで普通に病院に来た。状況からは肋骨骨折・血気胸疑いになる。

 胸部CTで確認すると複数の肋骨骨折があり、予想通り気胸を来していた。少量の胸水もあり、出血もあるらしい。

 すぐに地域の基幹病院に連絡して、救急搬送したそうだ。バイタルは問題なく、幸い緊張性気胸ではないが、普通に内科新患で受診されると驚く。救急車で来てほしかった、という。(内科再来を診ながらの新患対応なので)

 大動脈解離を認めるが、これで基幹病院に通院(経過観察)しているそうだ。

 

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頭部切創だけではなかった

2024年05月09日 | 脳神経疾患

 5月6日(月、振替休日)は日直で出ていて、当直で来た整形外科医に午前中に入院した胸椎圧迫骨折の患者さんを申し送った。

 当直帯が始まってさっそく救急要請が来ていたが、救急隊との話しぶりからは高齢者の転倒・頭部打撲による切創らしかった。外来で処置(縫合)をして帰宅のつもりなのだろうと思って、帰った。

 7日に確認すると、その患者さんは91歳男性で、入院になっていた。

 左後頭部の切創は小動脈性出血があり、5針縫合していた。頭部CTで頭蓋内出血を確認していて、軽度に硬膜下に出血があった。経過観察のため入院になったのだった。市内のクリニックから抗凝固薬(リバーロキサバン=イグザレルト10mg)が処方されている。

 7日に頭部CTを再検して、硬膜下血腫の進行はなかった。しかし血液検査でHb7.7g/dLと貧血があり、輸血がオーダーされた。昨年11月に外来を受診した時はHb12.0g/dLだったので、かなり出血していた。

 

 抗凝固薬は心房細動の処方かと思ったが、心電図では正常洞調律だった。発作性でもないようだ。

 昨年11月に両下腿浮腫でクリニックから当院内科外来に紹介されていた。担当の先生が検査すると、浮腫の原因として心・腎・肝は問題なく、血清アルブミンも3.5g/dLだった。

 胸腹部CT(単純)を行っていて、肝臓に著大な嚢胞があり、ちょうど下大静脈を圧排している。これによる下大静脈以下の血流障害あるいは血栓症(による浮腫)の可能性があります、という返事を出していた。

 Dダイマーが3.1と微妙に上昇していた。造影CTではないので、下肢深部静脈血栓症の有無は正確にはわからない。

 クリニックではこの返事をみて、直接経口抗凝固薬(DOAC)を開始したと思われる。出血性病変が起こると、これが裏目に出るのだった。

 

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胸椎圧迫骨折

2024年05月08日 | 整形外科疾患

 5月6日(月、振替休日)の日直が始まるとすぐに、救急要請が入った。81歳女性が自宅で転倒して背部痛で動けないという。圧迫骨折だろうと思われた。その日の当直は整形外科医だった。

 当院の整形外科に腰部脊柱管狭窄症などで通院している。4月11日に腰痛で受診して、第1腰椎の圧迫骨折を指摘されている。腰椎X線で十分に診断できるためか、MRIまでは行われていない。入院にはなっていなかった。

 その時に作成したコルセットを装着していた。前回の部位より頭側に疼痛・圧痛がある。胸腰椎X線でははっきりしなかった。

 腰椎MRIだと胸椎はどこまで入るか技師さんに訊いてきた。第10胸椎くらいまでですかね、ということだった。脊椎はどこまでの範囲で撮像できるか訊くと、全脊椎でもできるが精度の問題があるという。

 胸椎・腰椎MRIで行ったもらった。腰椎MRIではぎりぎり入る、第9胸椎の圧迫骨折だった。

 実は腰椎MRIが終わって、胸椎MRIを撮像しようとしたところで、硬い台の上だと痛みがひどく、嘔気も出てきたという。搬入直前に自宅で外来処方のカロナールを内服していたが、足りなかったようだ。やむなくいったん休止して、救急室に戻った。

 アセトアミノフェン注(アセリオ1000mg)とプリンぺラン注を行って、落ち着いたところでMRI再開となったのだった。画像の記録としては、腰椎胸椎MRIが問題なく施行されたようになっているが。

 入院にして、夕方やってきた当直の整形外科医に申し送った。真っ先に「認知症は?」、と訊かれた、認知症はまったくない方ので助かる。

 

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恥骨骨折、腹壁血腫

2024年05月07日 | 整形外科疾患

 5月6日(月、振替休日)は日直だった。午前8時に病院に着くと救急車が来ていた。前日の当直だった別の内科医が受けていた。

 

 患者さんは隣の市内にある施設入所中の86歳男性。認知症で抗精神薬(クエチアピン)と抑肝散が処方されているが、身体的にはADL自立だった。

 前日に転倒して当番医(整形外科)を受診して恥骨骨折と診断されていた。その日の午前6時ごろに一過性意識消失?と嘔気があり、市内の病院に救急搬送された。搬送後も嘔吐があり、下腹部に圧痛があることから当院に紹介されていた。

 腹部CTで見ると、恥骨骨折と腹壁血腫があった。血液検査でHb9.5g/dlと低下していた。簡単な会話は可能で、自覚症状は把握できる。

 整形外科の問題かというと難しい。担当する診療科がどうなるかという問題はあったが、地域の基幹病院に連絡していた。受け入れは難しいという。確かに出血が続くと、放射線科のインターベンション(塞栓術)になる。県庁所在地の病院2か所にも当たっていたが、受け入れは難しかった。

 なにより患者さんがさらに搬送されるのを嫌がっていた。家族にも連絡をして、当院で経過をみて、対処できない時は改めて搬送を考えることになった。

 

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内科医が増えました

2024年05月06日 | 内分泌疾患

 今年は新任の先生が増えて、それぞれ専門分野をもっている。しかし当院としては専門分野は標榜しないで、内科としてまとめている。専門医が診るのが好ましい患者さんを回したり、相談できるのでとても助かる。

 整形外科で手術中の患者さんが急変した時は、循環器科が専門の先生が呼ばれて、適切な対応で主治医に感謝されていた。

 

 内分泌が専門の先生には、亜急性甲状腺炎の患者さんを相談することができた。その時、FT3/FT4比について教えてもらった。FT3/FT4比が2.5以上でバセドウ病の確率が高い

 確かに亜急性甲状腺炎の患者さんではFT4の上昇が目立っていて、バセドウ病とは違っていた。別の日に、バセドウ病の患者さんの甲状腺機能を見せてくれて、ほらFT3が目立って高いでしょうといわれた。

 

 その先生が担当している88歳女性は著しい低ナトリウム血症だった。4月9日に食べられない・動けないとして内科外来を受診していた。発語はあるが、意識低下もあった。

 血清ナトリウムが100で、このような値は始めて見る。その先生も、当院では精査・治療困難と判断して、大学病院に搬送していた。

 大学病院到着時は血清ナトリウムが93で、翌日も98だった。そこから1日ごとに109→110→114→119→124→127→133と順調に改善している。

 内分泌代謝に異常は認めず、通院している内科医院処方の降圧利尿薬(ヒドロクロロチアジド12.5mg、ARBテルミサルタン40mgとの合剤)に影響とされた。低下から食欲低下に陥ってさらに悪化したのだろう。(この前当方が担当したループ利尿薬で低カリウム血症1.4になった患者さんも同じ医院に通院していた)

 4月23日に当院にリハビリ目的で転院してきた時は、血清ナトリウム141で正常域だった。大学病院の診療情報提供書には治療により軽快という簡単な記載のみで、具体的な治療は記載されていなかった(残念)。

 普通に高張食塩水の点滴静注だったとは思う。高張食塩水(3%NaCl)は、10%NaCl30mL+5%グルコース70mL、または生理食塩水500mLから100mLを抜いて10%NaClを120ml(20mLを6A)加える。浸透圧性脱髄症候群を避けるために24時間で10mEq/L未満、48時間では18mEq/L未満のNa濃度の補正に留める。

 高張食塩水の輸液スピードや、食べられない時のそれ以外の輸液(高張食塩水は基本側管からなのでメインの方)についての記載はないが、ケースバイケースなのだろう。

 

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COVID-19後の二次性細菌性肺炎

2024年05月05日 | COVID-19

 5月1日の午後の外来担当(その日当直も)は腎臓内科の若い先生だった。これまで大学病院から中堅の先生方が3か月交代で来ていたが、もっと若い先生(内科専攻医)で内科各分野の症例を経験するため1年間の予定で赴任された。(正確には腎臓内科を目指している先生)

 午後4時ごろに、COVID-19に罹患してからずっと発熱が続いている31歳女性が内科外来を受診した。4月19日にCOVID-19と診断されているので、13日目になる。

 胸部X線・CTで右中葉と左下葉に浸潤影を認めた。血液検査は白血球12500・CRP3.8だった。

 腎臓内科の上司に当たる先生に電話連絡したが、当方にも相談するようにといわれたそうだ。その日は午後5時半に帰れて、午後6時半過ぎに通勤の車を停めたところで電話が入った。

 悪化した場合は気管挿管になるので、地域の基幹病院に送った方がいいでしょうかという。酸素飽和度は97%(室内気)なので、当院で治療して思わしくない時に相談でもいいのではないでしょうか、と伝えた。

 画像について訊くと、浸潤影ですりガラス陰影ではないという。コロナ自体の肺炎ではなく、むしろ二次性の細菌性肺炎だろう。(コロナの陰影が器質化した可能性もあるが)

 抗菌薬はセフトリアキソンを考慮していますかと訊くと、そうだというので、その日はセフトリアキソン2g投与で治療が開始された。次の日は大学病院から呼吸器外来に先生が来るので、そこで相談しましょう、ということにした。入院は個室になった。

  

 翌5月2日に胸部X線・CTを見ると、確かに浸潤影だった。呼吸器科の先生と相談すると、やはり二次性の肺炎が併発したと考えられるという。若いので非定型も検査・カバーが必要かもしれないこと、痰がでなければ尿中抗原を検査すること、などをご教示いただいた。

 肺炎球菌尿中抗原が陽性で肺炎球菌肺炎だった(レジオネラ抗原は陰性)。セフトリアキソン単独の投与でいいようだ。(キノロンをかぶせればさらに効くかも)

 

 インフルエンザは二次性細菌性肺炎で悪化する。COVID-19は当初はウイルス性肺炎そのもので悪化したが、その後は減少して、高齢者では二次性に細菌性肺炎(誤嚥性肺炎)を来たして悪化するようになって来た。

 若い患者さんのCOVID-19罹患後の二次性細菌性肺炎(肺炎球菌肺炎)は初めて見た。

 

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肺炎ではない?

2024年05月04日 | 呼吸器疾患

 4月27日(土)は当直だった。28日午前1時半に高熱・呼吸困難の92歳女性が救急搬入された。救急隊の話では、酸素8L/分でも酸素飽和度が90%未満ということだった。

 市内の病院に通院しているが、そちらは時間外の救急はほとんどとっていない。当院で受けたが、基幹病院に当たってもらった方がよかったかもしれない。

 心房細動があるが、心臓ペースメーカー植え込みもなされていた。心拍数は正常範囲だった。徐脈性心房細動だったのか、洞不全症候群(徐脈頻脈症候群)だったのかわからない。

 腎機能は正常だったが、抗凝固薬はワーファリンが使用されていた。PT-INRを知りたいが、当院は時間外は凝固検査はできない。

 その日患者さんは日中デイサービスに行っていて、就寝前までは何ともなかった。夕食時も明らかなムセはなかった。

 その割に胸部CTで右肺上葉を中心に浸潤影らしい陰影がはっきり出ていた。炎症反応は陰性だった。聴診では右肺にcoarse cracklesが聴取された。

 入院で肺炎として治療を開始したが、酸素10L/分を要し、家族には厳しいかもしれないと伝えた。

 入院後は解熱して、酸素投与量も減少できた。4月30日には酸素1~2L/分になり、何度も患者さんが外してしまうため、中止となった。室内気で92%くらいになる。

 胸部X線(ポータブル)を見ると、右肺の陰影は薄くなっていた。何だか普通の肺炎らしくない。家族が来たので、肺炎というよりは肺胞出血かもしれないと伝えた。すると、搬入後はなかったが、自宅にいる時には血痰を排出していたという。

 抗凝固薬(ワーファリン)と理由はわからないが、処方には抗血小板薬(バイアスピリン)も入っていた。30日には凝固検査ができて、PT-INRは1.27で効きすぎではなかった。(搬入時にも効きすぎていたようには思えない)

 

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「私が心電図を読めないわけ」

2024年05月03日 | 無題

 6年前に書いた原稿だが、備忘録としてこちらに記載しておくことにした。当院の麻酔科医(当時)が医師会から原稿を頼まれたが、「以前にも書いてもうネタがないので、代わりに書いてくれ」と当方に依頼されたものだ。

 

 「私が心電図を読めないわけ」

 村川裕二先生は研修医必携の「循環器治療薬ファイル」の著者で、心電図の本を多数出されています。

 そのうちの研修医向けの本と、「あなたが心電図を読めない本当の理由(わけ)」などの心電図や循環器診療をネタにした脱力系エッセイを購入してきました(専門的な本は買いません)。

 当初「私が心電図を読めないわけ」という書名にしたかったのに、「それでは弱気すぎて誰も読んでくれません」という出版社の意見に押されて、「あなたが~」なりました、などと村川節で書かれています。

 ぜひ村川先生を直接見てみたいと思い、村川先生を講演に読んでくれないものかと騒いでいました。巡りめぐって平成25年当地域循環器懇談会の講演に来られることになりました。

 講演内容はすっかり忘れましたが、「循環器治療薬ファイル」にサインしてもらって、名刺をいただきました。

 雑誌の連載を続けたいらしく、「メディカル朝日」の読者ハガキを出してほしい(当然村川先生のコーナーがためになる・面白いと書いて)と依頼されました。出さないでいるうちに、「メディカル朝日」は平成28年11月になくなりました。

 aVRは十数年間無視してきた誘導ですが、aVRのST上昇は左冠動脈主幹部病変や3枝病変を表すことを知りました。他の誘導では広範なST低下を認めるようです。

 以前受診した高齢女性(胸痛はなし)は心電図で広範なST低下を認め、これは一体何だろうかと思っていると、みるみる血圧が低下しました。循環器センターのある病院からドクターカーに来ていただき、救命してもらいました(深夜で大変申し訳なかったです)。

 ずいぶん後になってあの心電図がそうだったのかと気づきました。今は研修医が普通に知っている変化だそうです。

 胸痛で受診した高齢男性はⅡ・Ⅲ・aVFでST上昇があり、下壁梗塞の診断は容易でしたが、3回心室細動になって、1回+2回+2回の計5回除細動をして、洞調律に戻りました。(助かった患者さんの除細動自己最高記録)救急車に同乗してやっとの思いで地域の基幹病院に搬送すると、H先生(当時)が迎えてくれました。その後患者さんは元気に戻ってきました。

 研修医の時から、循環器科は絶対に選ばない診療科目でした。急激に変化する心原性ショックや不整脈にとても対応できる気がしなかったからですが、本当に正解でした。

 虚血性心疾患は学生でもわかるようなST上昇を呈することを希望します。

 胸痛の患者さんが受診して、心電図の虚血性変化が微妙でよくわからない時は、ACS疑いで救急搬送しています。大騒ぎして送ったものの。結果は正常冠動脈で、ハズレの紹介に終わることもあります。心電図判読よりも疑わしい症状で判断しているので、その点はご容赦下さい。

 完全左脚ブロックの虚血性変化やwide QRS tachycardiaはできるだけ(絶対に?)当たりたくないものです。

 心電図がもう少しわかるようになりたいという気持ちで、数年おきに心電図の本を購入しています。基本的に研修医向けの本で、看護師さん向けの本もあります。

 最近は救急医増井伸高先生の「心電図ハンター」が気に入っています。非専門医から循環器科医への橋渡しの仕方を書いています。プライマリケア学会で増井先生のワークショップに出ましたが、とても愉快な先生でした。

 

あなたが心電図を読めない本当の理由

循環器治療薬ファイル 薬物治療のセンスを身につける 第3版

 

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完全房室ブロック

2024年05月02日 | 循環器疾患

 4月30日(火)の午前中は救急当番・発熱外来をしていた。救急隊から、相談がありますと連絡がきた。

 患者さんは施設に入所している95歳女性で、両下肢の浮腫が悪化した。施設で通院しているクリニックに連絡すると、病院(当院)に行くようにといわれたそうだ。(当院の循環器科勤務から開業された先生のクリニック)

 心拍数30回/分の徐脈があり、それは以前からで、どうも心臓ペースメーカー植え込み術はしない方針になっているらしいという。

 救急隊としては徐脈・心不全だと、循環器科のない当院に搬送しても、対応できないのはわかっている。しかし心臓ペースメーカーを行なわないことになっていると、循環器科のある病院にも依頼しにくい。どうしましょうかという。当院は初診になるので検査を行って、家族と相談することにした。

 

 来てみると、確かに心拍数は30/分で完全房室ブロックだった。心拍数以外のバイタルは問題なく、酸素飽和度も正常域(室内気)だった。両下肢(膝から足)に浮腫があるが、うっ滞性皮膚炎がありので経過が長いのかもしれない。

 心雑音はなく、弁膜症は否定的だった。胸部X線で心拡大はあるが、胸水・肺うっ血はなかった。

 患者さんは超高齢だが、会話したところでは認知症はない。単に徐脈だけの問題なので、超高齢だが心臓ペースメーカー植え込み術の適応がある?。

 

 息子さんと話をすると、心臓ペースメーカー植え込み術は本人も希望しないのでしないことにしていて、悪化しても仕方ないと理解しているという。

 クリニックの処方はARB少量(バルサルタン20mg)と利尿薬(アゾセミド30mg)だった。利尿薬のため尿酸値が10mg/dLと高値だった。

 患者さんは入院の希望もなく、息子さんもできれば施設に置きたいというので、利尿薬の追加で経過をみてもらうことにした。スピロノラクトン25mgを追加した(フェブキソスタットも追加)。

 バルサルタンをエンレストに変更するか、SGLT2阻害薬追加なども考慮されるが、どの順番での調整がいいのか。クリニックに診療情報低局書を出して調整してもらうことにした。

 今後当院に救急搬入の可能性があり、時間外だと外部の先生が日当直をしていてこともあり、心疾患増悪は断るかもしれない。電子カルテに経緯を記載した付箋を入れて、家族にはDN(A)Rの了解をいただいた。

 

 ところで、市内のクリニックからは「病院(当院)に行け」という指示が出る。クリニックに患者さんから電話での診療依頼がいった時や、救急隊から連絡が入った時に、よくこれが出る。(入院が必要な時は当然ではあるが)

 

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