ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

樽の香り

2011年04月10日 03時55分37秒 | ワインの事

ワインを表現する時に幾つかのキーワードがあります。

白ワインを表現する時に「花の様な」「黄色い果実の様な」「ハーブの様な」などで求めるワインが読めてきます。中でも「樽の香り」といった場合は判りやすいですね。

しかし、樽の香りというのは実は難しい香りです。

生木の様な如何にも「木」を思わせる香り、木の中に存在する樹脂の香り、それらに含まれる糖質を焼いた時にするバニラ様の香り、焦げた香り。いずれも樽の香りです。

しかし厄介なのは、木そのものの香りでない部分が実は樽香として認識する事が多いのですね。

つまりステンレスタンク等の様に密閉された容器の場合、酸化することが無いのですが、樽は空気を通すのですから酸化します。微量ではありますが何ヶ月も入れておくとハッキリします。

樽香の中には酸化香が含まれるという事です。

また、樽に入れることが経費の面で大変、というようなワイナリーに中には樽材で造ったフレーム状のものをタンクに差し込んで「さも樽熟したかのような」技、樽材のチップを入れるなどという荒業をする等、をしたりする所もあります。こういう場合、慣れてくれば直ぐそれと判ります。先ほどと逆で「酸化の過程」を踏んでいないからです。

ちなみに樽の香りがするワインを私が使う時は香ばしい香りの料理と合わせます。また温度は下げすぎない温度、モノによってはかなり高めの温度で供出します。グラスも大きめですね。

どちらがいいかは使い方次第ですが、ここ20年程の間は樽の香りは比較的軽くなっている傾向があります。料理も軽くなっていますので自然の流れだと思います。

今月のグラスワインの中に同じ葡萄品種の樽使いの違うワインがあります。それぞれ違う料理とタイミングでお召し上がり頂けますので、一度比べて頂いても面白いかもしれません。